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2014年02月08日

心に浮かぶ歌・句・そして詩141(後藤静香『権威』より)

「民族の素質」

東西の文化の粋をつかみ
新たなるものを表現しうる民族
世界の最高水準を追い
列国の選手ときそいうる民族
卑下するをやめよ
なんじの真価を見直し
足らざるをおぎない
あやまれるを正し
民族本来の素質を生かせ

後藤静香『権威』より

 後藤静香の生地は、大分県で生家は庄屋であった。その生家の跡に、後藤静香を信奉する有志が碑を建てた。「権威の碑」という。一度現地を訪ね、その碑を見たことがある。そこに刻まれている言葉が「民族の素質」である。確かめて書いているわけではないが、この詩は、戦後書かれたものではないだろうか。『権威』の中でも最後の方に書かれている。後藤静香は、国粋主義者ではないが、皇室への尊敬の念が強かった。明治天皇の皇女で、戦後最初の総理大臣になった東久邇宮様の奥様は、後藤静香の社会教化運動の理解者だったと聞いている。明治の人は、祖国愛があった。ソチで冬季オリンピックが開催中である。
  

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2014年02月07日

心に浮かぶ歌・句・そして詩140(後藤静香『権威』より)

「老樹」

烈風にあたって
根が深くなった
樹かげに
泉がわいてきた
善いものも悪い者も
その陰にいこわせた
自分を倒す樵夫にも
終わりまで陰を与えた

後藤静香『権威』より

 キリストの生涯は、30数年と短い。決して老樹ではないが、キリスト者にこんな生涯を送った人が多い。後藤静香の高弟の一人原正男氏(1906-1999)は、93歳という長寿だった。青年時代、結核にかかり長い闘病生活を送り、その病床にあって抱いた志を結核保養所の設立に結実させ、今日総合病院、老人福祉施設に発展させた。20年以上、氏の身近で働くことができたが、この詩がそのまま当てはまる人物であった。
  

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2014年02月04日

心に浮かぶ歌・句・そして詩139(後藤静香『権威』より)

「白菊」

玉露霜に代り
秋風膚にしむ
絢爛の百花去って
蝶と共に跡なし
天青日白薫風のうち
容姿端然独り静かに微笑む
高風静節
ああ白菊
 
後藤静香『権威』より

 漢文調で歯切れが良い。戦前の創作だと思うが、戦後、今上天皇のご成婚の時、後藤静香は老年期を迎えており、この詩に美智子妃殿下を重ねた。白菊のように気品があり、高貴な香りを感じたと述べている。
  

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2014年02月03日

心に浮かぶ歌・句・そして詩138(後藤静香『権威』より)

「富嶽」

霞のベールに乙女のような
はにかみをふくむ春の富士
すみきった青空に、
正装した古武士の如き
気品を映す秋の富士
むらがる岩雲を脚下にふんで
戦士のように力あふれる夏の富士
かがやく百衣に神仙のような
おごそかさを包む冬の富士
わたしはなんじの神韻に酔う

後藤静香『権威』より
 
 富士山は、日本を代表する山。多くの人に愛されている。外国人が見ても美しいと感じる。世界遺産にふさわしい山である。富士山がすっきり見える日は、春夏秋冬それほど多くないと思うが、季節季節の富士山の印象を良く表現している。千変万化、富士山は見飽きることがない。ここに時間を加えることもできる。北斎の赤富士も良い。東雲という言葉があるが、そんな色に包まれた富士も一度見てみたい。
  

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2014年02月01日

心に浮かぶ歌・句・そして詩137(後藤静香『権威』より)

「大志遠望」

ひと山こえたら次の山
千波こえたら万波のかなた
足は大地
まなこは蒼天
大洋の雲と水との接吻するところ
久遠悠久のおもい湧く
大志遠望
人生無窮
             後藤静香『権威』より

「我をより高き崖下におけ」というのも後藤静香の人生訓である。困難な場所に身を置き、それを乗り越えていく。志があれば、崖を登り切ることができる。しかし、高い志ほど、地に足を着け、地道にその思いを積み重ねていく。人生は長いのだからやがては、志したものが成就する。「大志遠望、人生無窮」である。大志は、まるで実のようだと思う事がある。大志を抱いた時に既に結果が出ている。育って成長するかは、心がけにかかっている。
  

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