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2020年02月29日

「漱石句集」より(冬籠)

冬籠米搗く音の幽かなり

今日では、簡単に機械で精米ができる。
瓶などに入れて玄米を精米するのは大変だ。
棒で搗く音が幽かに聞こえてくる。
  

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2020年02月28日

「漱石句集」より(凩)

          凩や真っ赤になって仁王像
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前句にも凩の中の仁王様が詠まれていたが、その時の木肌には朱が塗られていない。
今度の仁王様には漆が塗られ真っ赤になっている。
寒さに耐えているという捉え方はかわらない。
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Posted by okina-ogi at 00:13Comments(0)書評

2020年02月27日

「漱石句集」より(凩)

          凩に裸で御わす仁王哉


凩が吹き実に寒い日でありながら、仁王像は、きりっとした顔で立っている。
仁王を人にたとえれば到底耐えられない。
  

Posted by okina-ogi at 08:40Comments(0)書評

2020年02月26日

「漱石句集」より(時雨)

           三十六峰我も我もと時雨けり

京都の山々。
それぞれに平等に雨が降っている。
まるで時雨が恵みの雨のようだ。
  

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2020年02月25日

「漱石句集」より(紅葉)

          雲来たり雲さり瀑(たき)の紅葉かな


瀑(たき)というからには水量の多い滝であろう。
滝に近い木々は紅葉している。
滝の水しぶきではなく、雲がかかりまた晴れたりを繰り返している。
  

Posted by okina-ogi at 18:05Comments(0)書評

2020年02月24日

「漱石句集」より(秋の山)

             秋の山南を向いて寺二つ

漱石が松山に教員として赴任した時の句である。
二つの寺があり、いずれも山を背にして南を向いている。
紅葉の中の寺である。
  

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2020年02月23日

「漱石句集」より(菜の花)

           菜の花の中に小川のうねりかな


小川の両岸に菜の花が咲き乱れている。
小川はうねりながら菜の花の中を流れていく。
初春の風景である。
  

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2020年02月22日

「漱石句集」より(ほとぎす)

           鳴くならば満月に泣けほととぎす

この句も、子規宛の手紙にある。
学年末の試験で落第した子規に、大学をやめないように励ました。
満月は卒業の意味。
  

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2020年02月21日

「漱石句集」より(東風)

          東風吹くや山いっぱいの雲の影

東風はこちと読み春風である。
山の木々も芽吹き、その山に雲の影が大きくかかっている。
明治二十三年、二十三歳の句である。
  

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2020年02月20日

「漱石句集」より(子規)

           帰ろうと泣かずに笑え時鳥

正岡子規が喀血し、見舞った。
時鳥は子規のこと。
時鳥は、不如帰(帰るに如かず)とも書く。
一種の言葉遊びだが、親友を励ます句になっている。
明治二十二年の作で、漱石俳句集の最初にある。
  

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2020年02月19日

「漱石俳句集」より



漱石は子規の影響で俳句を始めた。
後に、小説を書き文豪になった。
二刀流と言いたいが、俳句は余技である。
後世の俳人の評価は低いが、漱石らしい句に個性が表れている。
  

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2020年02月18日

「子規句集」より(葡萄・辞世の句)

           黒きまでに紫深き葡萄かな

有名な辞世の句の前に、この句があった。
よく写生されている句ではないか。
決して辞世の句になっても不名誉な句ではない。

朝顔や我に写生の心あり
(絶筆)

  

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2020年02月17日

「子規句集」より(秋)

           草花を画く日課や秋に入る

子規は臨終が近くなって、俳句をやめなかった。
それに加えて、草花を写生することも。
「草花を写生していると、造花を感じることができる」
子規の随筆の中にある言葉である。
  

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2020年02月16日

「子規句集」より(涼し)

どこ見ても涼し神の灯仏の灯


前書きに「京東山」とある。
仏の灯は清水寺、神の灯は八坂神社?
子規は、このあたりを散策するのが好きだった。
何度も足を運んでいる。
  

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2020年02月15日

「子規句集」より(雪)

         いくたびか雪の深さを尋ねけり


子規の代表作といってよい。
子規句集の中にも載っている。
床に臥すことが多くなってからの句ではないが、寒さもあり寝床に横になっていたのであろう。
縁側から離れた場所に寝ているから雪の様子がわからない。
家族に尋ねたか、客人に尋ねたかわからない。
何度も何度も気になって尋ねた。
郷土松山の言葉で。
 
  

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2020年02月14日

「子規句集」より(春)

             春惜しむ一日画をかき詩を作る

前書きに「幼児稽古画帖」とある。
ちいさな子供が絵を描くようなノートである。
ひねもす画や詩を書くことに熱中し、体の痛みを忘れるようにした。
本来なら春の雰囲気を味わいたかったと思う。
  

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2020年02月13日

「子規句集」より(霜)

病床口吟 (室外)
           朝霧に青き物なき小庭かな


朝霜が降りて外は寒い。緑の葉は霜に覆われて白くなっている。
子規が見た儘をメモに移しとらせている
。  

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2020年02月12日

「子規句集」より(土筆)

           家を出でし土筆摘むのも何年目


前書きに「律」に土筆採り誘われて行けるに、と書かれている。
律は子規の妹。
この句には説明はいらない。
  

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2020年02月11日

「子規句集」より(秋)

            湖の細り細りて瀬田の秋


湖はもちろん琵琶湖である。
水も瀨田の唐橋をくぐり、京都に保津川となって流れて行く。
秋もまた流れて行く。
  

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2020年02月10日

「子規句集」より(奈良の秋)

             行く秋や奈良の小寺の鐘を撞く

奈良の法隆寺の近くの茶屋で柿を食べながら、鐘の音を聞いた子規は
             柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺
の名句を作った。
小さな寺であるが、自分でも鐘を撞いた。
一度となく何度か撞いたのであろう。
秋も冬に向かって一日一日進んでゆく。
  

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