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2020年04月12日

「漱石句集」より(寒さ)

           三階に独り寝に行く寒さかな

イギリスで転居を五回もしている。
今度の住まいは、三階である。
一人で生活することには変わらない。
  

Posted by okina-ogi at 10:17Comments(0)書評

2020年04月11日

「漱石句集」より(春の夜)

            吾好子を夢見る春の夜となりぬ

高浜虚子宛の葉書にこの句を書いた。
また、「英国も厭になり候」とも書いた。
英国の文化になじまず、一人生活の孤独もあった。
妻や娘のことを夢に見るようになった。
  

Posted by okina-ogi at 12:12Comments(0)書評

2020年04月10日

「漱石句集」より(男郎花)

            女郎花を男郎花とや思いけん


男郎花(おとこえし)は女郎花に似ているが花は白い。
よく見れば葉や茎に毛が多い。
  

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2020年04月09日

「漱石句集」より(暑さ)

              赤き日の海に落ち込む暑かな
              日は落ちて海の底より暑かな

赤道近くを通過する時は、昼も夜も暑く耐えがたかった。
とりわけ、日没後の暑さは、あじわったことのないものだった。
  

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2020年04月08日

「漱石句集」より(秋風)

           秋風の一人をふくや海の上

寺田寅彦宛の葉書に記された句である。
明治三十三年九月八日に横浜港からイギリスへの留学の途についた。
友人は同船していない。
  

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2020年04月07日

「漱石句集」より

安々と海鼠の如き子を生めり

季語を海鼠にするわけにはいかない。
安産だったのだろう。
明治三十二年五月三十一日に長女筆が生まれた。
この句を見た奥さんはどんな感想を漱石に述べたか。
「あなたらしいわね」
とでも言ったのだろうか。
  

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2020年04月07日

「漱石句集」より(秋)

          秋はふみわれに天下の志

ふみは誰れに宛てたものか。
秋になると手紙を書く気になる。
そこには、天下に意見する気持ちを書くという気概がある。
  

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2020年04月06日

「漱石句集」より(野菊)

              野菊一輪手帳の中に挟みけり


散歩しながら、野を歩き野菊を見つけた。
可憐な花である。
一輪だけは、手帳に挟み、秋が深まるのを気にとめようと思った。
  

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2020年04月05日

「漱石句集」より(涼し)

顔にふるる芭蕉涼しや籐の寝椅子


漱石の家は広かった。
漱石山房となり、友人門下生がしきりに訪ねてきた。
その山房には芭蕉が植えられ、近くにはテラスがあった。
籐椅子があり、くつろぐとき芭蕉が顔にふれ涼しさを感じた。
  

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2020年04月04日

「漱石句集」より(萩薄)

行けど萩行けど薄の原広し


        行き行きて倒れ伏すとも萩の原
という曽良の句を思い浮かべた。
漱石の句には薄も登場する。
すっかり秋になった。
しかも萩と薄が繁っている。
  

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2020年04月03日

「漱石句集」より(野菊)

            草刈の籠の中より野菊かな


農耕のために飼っている馬か牛の草刈りをして、家路に向かう人を見かけた。
籠の中見ると野菊が混じっている。
生け花にするつもりで刈り取って来たのかも知れない。
  

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2020年04月02日

「漱石句集」より(秋の空)

草山に馬放ちけり秋の空


放牧の馬だが、草原をのびのびと歩き、秋の空のもと草を食んでいる。
阿蘇の放牧地のスケッチか。

           馬と子と牛の子とゐる野菊かな
も同じ場所での句であろうか。   
  

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2020年04月01日

「漱石句集」より(梅)

          梅遠近そぞろ歩きて昨日今日


漱石には梅を詠んだ句が多い。
子規のように梅が好きだったことも共通している。
梅の木が多くある土地にきて、どこゆくともなく梅を見て廻った。
二日続けて見に行くところは、よほど梅にひかれている。
  

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