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2020年05月11日

「漱石句集」より(唐黍)

            唐黍を干すや谷間の一軒家

トウモロコシは、生で焼いて食べるかゆでて食べる。
乾燥させて保存食として食べることもある。
ともあれ一軒家に干してあるのが目に入った。
  

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2020年05月10日

「漱石句集」より(凩)

              凩に鯨潮吹く平戸かな


今は本土(九州)と橋でつながっているが平戸は島である。
キリスト教の渡来の遺跡も多く残っている。
島の近くまで鯨が泳ぎ寄り、潮を吹く風景が見られた。
  

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2020年05月09日

「漱石句集」より(冬の山)

            冬の山人通ふとも見えざりき

木はすっかり落葉して裸木になっている。
山道を人が通っているようだが、枝が重なっていてはっきり見えない。
  

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2020年05月08日

「漱石句集」より(秋の空)

             見上げれば城峻として秋の空


城は松山城である。
松山に教師として赴任した漱石は、城のあたりを散策した。
見上げると秋の空である。
城は峻として聳え立っている。

  

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2020年05月07日

「漱石句集」より(春の川)

             烏帽子着て渡る禰宜あり春の川

それほど深くはない春の川である。
神主が裾ををまくりながら川を渡って行く。
春にふさわしい光景である。
  

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2020年05月06日

「漱石句集」より(椿)

            弦音にほたりと落ちる椿かな


漱石の運動神経良かったかどうか想像すべくもない。
当時流行の弓に挑戦した。
弦音によって椿が落ちるすべもないが、たまたま落ちた。
ほたりという感じに。
  

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2020年05月05日

「漱石句集」より(花)

            君逝きて浮世に花はなかりけり

兄嫁は「容姿秀麗」と添え書きがある。
夫である兄の悲しみはもちろんのこと。
身近な親族の死は辛い。
  

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2020年05月04日

「漱石句集」より(朝貌)

             朝貌や咲いたばかりの命哉


朝顔の莟が開いたばかり。
なのに悲しみの感情が湧いてくる。
兄嫁が二十五歳の若さで亡くなった背景があってできた句である。
  

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2020年05月03日

「漱石句集」より(月)

             柿の葉や一つ一つに月の影

漱石は繊細な感覚の持ち主でもあった。
柿の葉に月の光が当たっているとみるか、地に影を落としているかどちらをとるか。
いずれにしても柿の木ではない。
秋の夜のスケッチである。
  

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2020年05月02日

「漱石句集」より(花)

              雀来て障子に動く花の影


外には雀が来て泣くだけでなく、桜の木にとまり枝をゆすっている。
家の障子に影になって動いている。
二十四歳の句。
  

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2020年05月01日

「漱石句集」より(秋立つ)

              秋立や一巻の書の読み残し


芥川龍之介に送った手紙に書かれた句。
即興の句である。
自分にはやりきれないことがある。
小説『明暗』は未完となった。
大正五年の句である。
  

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