☆☆☆荻原悦雄のフェイスブックはこちらをクリック。旅行記、書評を書き綴っています。☆☆☆

2020年07月14日

『虚子五句集』より(枯野)

遠山に日の当たりたる枯野かな


明治三十三年の句である。
虚子は二十代、しかも俳句を始めてから日の浅い時の作品。
虚子の代表作になっている。
句の鑑賞はしないが好きな句である。

            山は暮れて野は黄昏の薄かな     蕪村
と比較しても見劣りがしない。
  

Posted by okina-ogi at 20:13Comments(0)書評

2020年07月14日

『俳句五十年』 高浜虚子 中央文庫


『子規句集』岩波文庫で子規の句集を眺めながら、高浜虚子のことが気になってきた。
本書は、口述筆記で俳句論を詳しく書いてあるわけではない。
明治三十年代以降、世に出た文学者との交流が書かれている。
虚子は長寿であった。
正岡子規はもちろん、夏目漱石、河東碧梧桐の記述が多い。
特に、河東碧梧桐とは俳句形式をめぐって考えをことにした。     

         山吹見し人の行方知らぬ       碧梧桐
         遠山に日の当たりたる枯野かな   虚子

結果的には、子規の近代俳句の革新は、虚子によって大河となり今日に流れている。

  

Posted by okina-ogi at 19:05Comments(0)書評

2020年07月14日

「漱石句集」より(菊)

黄菊白菊酒中の天地貧ならず


漱石は酒豪ではないがたしなむことはあったに違いない。
盃に菊を浮かべて酒を飲んでみないとこういう句にならない。
ほんのり酔って酒中の天地をあじわった。
  

Posted by okina-ogi at 09:06Comments(0)書評

2020年07月13日

「漱石句集」より(乙鳥)

思うことただ一筋に乙鳥かな


燕は、一直線にに飛び、それでも方向を切り返られる。
ツバメ返しという技である。
巌流島で武蔵と戦った佐々木小次郎の剣はツバメ返しと呼ばれた。
一筋さは純真さでもある。
  

Posted by okina-ogi at 10:03Comments(0)書評

2020年07月12日

「漱石句集」より(落葉)

             吹き上げて塔より上の落葉かな

落葉が実際塔の上に吹き飛んだのではなく、塔の下にいる人の視線がそう見えた。
  

Posted by okina-ogi at 09:45Comments(0)書評

2020年07月11日

「漱石句集」より(稲の風)

            一里行けば一里吹くなり稲の風

田園を行くのだが、向い風に吹かれ背を丸めて避けようとするが、それでも風が吹いてくる。
一里歩んでもそこに同じ風が吹いている。
  

Posted by okina-ogi at 10:44Comments(0)書評

2020年07月10日

「漱石句集」より(柳散る)

             柳散る紺屋の門の小川かな

城下町松山の一風景である。
昔から紺屋を営んできた。
家の門は立派である。
小川が前に流れていて、柳がそこに散っている。
  

Posted by okina-ogi at 08:11Comments(0)書評

2020年07月09日

「漱石句集」より(春雨)

            春雨や柳の下を濡れてゆく

柳が芽吹き清々しい春であるが、雨降りにとなった。
春雨だからそれほど強くない。
かえって柳の露で冷たかったかもしれない。
  

Posted by okina-ogi at 11:17Comments(0)書評

2020年07月08日

「漱石句集」より(月夜)

           わが恋は闇夜に似たる月夜かな

恋というものがわからない。
それは、闇夜に近い月夜の如きものである。
か細い月が照っている。
  

Posted by okina-ogi at 09:20Comments(0)書評

2020年07月07日

「漱石句集」より(白牡丹)

 白牡丹李白が顔に崩れたり


漱石は、俳句だけでなく絵も描いた。
自ら描いた絵に文章をかきつけることを自画自賛という。
描いた白牡丹が李白にかかってしまった
。  

Posted by okina-ogi at 07:51Comments(0)書評

2020年07月06日

「漱石句集」より(柳芽)

           柳芽を吹いて四条のはたごかな


今も京都の街並みには、江戸の風情が残っている。
四条のはたごの通りにも柳がうわっていた。
春早芽吹くくのが柳である。
  

Posted by okina-ogi at 12:25Comments(0)書評

2020年07月05日

「漱石句集」より(連翹)

            連翹の奥や碁を打つ石の音


和室で碁の対局をしているのだろうか。
連翹の垣根で見えない。
碁を打つ、石の音が聞こえてくる。
対局者は無言で碁に熱中している。
  

Posted by okina-ogi at 13:34Comments(0)書評

2020年07月03日

「漱石句集」より(木蓮)

            木蓮に夢のようなる小雨かな


主役は木蓮だが、小雨は、春雨だ。
夢のようなるという表現が春雨にふさわしい。
拙句に

           春雨を梢に宿し東福寺
がある。
  

Posted by okina-ogi at 09:55Comments(0)書評

2020年07月02日

「漱石句集」より(春の川)

             橋杭に小さき渦や春の川

春の川の水量はそれほどではないが、よく見ると橋杭のところで渦巻いているのが見える。
目を橋杭に向けたところが良い。
  

Posted by okina-ogi at 09:55Comments(0)書評

2020年07月01日

「漱石句集」より(蝶)

            蝶去ってまた蹲る子猫かな


蝶を見つけて身構えた子猫だったがまた蹲ってしまう。
この様子スケッチし、この句を書き込んだ画賛の句である。
  

Posted by okina-ogi at 07:45Comments(0)書評