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2021年03月31日

『高浜虚子句集』より(餅)

                 かるがると上がる目出度し餅と杵

自分ならそうはいかないという観察がある。
目の前のつき手は、軽々と杵にくっついた餅を持ち上げた。
目出度しというばかりである。
  

Posted by okina-ogi at 07:49Comments(0)書評

2021年03月30日

『高浜虚子句集』より(寒紅梅)

                 寒紅梅馥郁として招魂社

招魂社は、東京にある靖国神社である。
国のために亡くなった人々を祀っている。
東京朝日新聞の依頼によって作った句である。
  

Posted by okina-ogi at 08:54Comments(0)書評

2021年03月29日

『高浜虚子句集』より「錦}

                  目をつむれば今日の錦の野山かな


野山は紅葉してすっかり秋が深まった。
そうした眺めをじっと見ていると、目をつむっても錦の野山が浮かんでくる。
  

Posted by okina-ogi at 08:10Comments(0)書評

2021年03月28日

『高浜虚子句集』より(落花生)

                 落花生喰ひつつ読むや罪と罰

小説『罪と罰』は、ロシアの文豪ドフトエフスキーの大作である。
落花生を食べながら読む様子は、雑誌でも読んでいる感じがする。
  

Posted by okina-ogi at 08:28Comments(0)書評

2021年03月27日

『高浜虚子句集』より(薔薇)

見るうちに薔薇たわわたわわと散り積もる


薔薇の花も満開を過ぎると風にも吹かれ、地に落ちる。
たわわたわわという表現が、薔薇の落花にふさわしい。
  

Posted by okina-ogi at 09:01Comments(0)書評

2021年03月26日

『高浜虚子句集』より(浮葉)

                 たたみ来る浮葉の波のたえまなく


「不忍池畔雨月荘」の前書きがある。
池に浮かんでいる浮き葉に目が留まった。
何度も何度も揺られて寄せてくる。
  

Posted by okina-ogi at 07:07Comments(0)日常・雑感

2021年03月25日

『高浜虚子句集』より(花)

                 別荘を出て別荘へ花の坂


他の句から想像すると海の別荘である。
友人の別荘から友人の別荘を訪ねて行く。
距離はないが坂道には桜が植わっている。
春の良い日になった。
  

Posted by okina-ogi at 08:11Comments(0)書評

2021年03月24日

『高浜虚子句集』より(独楽)

たとふれば独楽のはじける如くなり


虚子と友人の河東碧梧桐の間に論争があった。
虚子が五七五の定型を主張したのに対し、河東碧梧桐は自由律を主張した。
その論争が独楽がはじけるようだと譬えたのである。
  

Posted by okina-ogi at 08:51Comments(0)書評

2021年03月23日

『高浜虚子句集』より(紅梅)

                  そのままに君紅梅の下に立て


この句も虚子の秀句としてあげる人が多い。
まるでカメラで写真を撮るようだ。
絵になっている。
  

Posted by okina-ogi at 08:38Comments(0)書評

2021年03月22日

『高浜虚子句集』より(日向ぼこ)

                 倫敦の濃霧の話日向ぼこ
                 
                 伊太利の太陽の唄日向ぼこ

ヨーロッパ旅行を振り返った連作である。
  

Posted by okina-ogi at 14:15Comments(0)書評

2021年03月22日

『高浜虚子句集』より(秋日和)

椀ほどの竹生島見え秋日和


竹生島は琵琶湖に浮かぶ小さな島。
椀を伏せたように見える。
秋日和で島もすっきり見える。
  

Posted by okina-ogi at 08:23Comments(0)書評

2021年03月21日

『高浜虚子句集』より(野分)

                   我が息を吹きとどめたる野分かな

嵐の吹く方に顔を向けると息ができないほどだ。
吐く息がしにくいのでついつい下を向いてしまう。
虚子には野分の句が多い。
  

Posted by okina-ogi at 08:30Comments(0)書評

2021年03月20日

『高浜虚子句集』より(芒)

                  目さむれば貴船の芒生けてあり


この宿に泊まり、朝起きてみると芒が生けてあった。
粋な計らいである。
貴船と言えば川床が有名だが、そのシーズンは過ぎている。
  

Posted by okina-ogi at 08:48Comments(0)書評

2021年03月19日

『高浜虚子句集』より(蚊遣)

                 庭石に蚊遣置かしめ端居かな


縁側に出て涼む。
蚊に刺されてはかなわぬので庭石に蚊遣を置いた。
部屋の外なので効果はどのくらいあるものやら
。  

Posted by okina-ogi at 08:15Comments(0)書評

2021年03月18日

『高浜虚子句集』より(秋の風)

                  秋の風衣と肌を吹き分つ

下着に衣をかけたくらいで寒さをしのげる季節だが、衣が肌から離れると寒さを感じる。
秋風によって季節の移り変わりを身に染みる。
  

Posted by okina-ogi at 07:38Comments(0)書評

2021年03月17日

『高浜虚子句集』より(夏潮)

                 夏潮を蹴って戻りて陸に立つ

本土上陸は神戸港である。
待ち迎えてくれる人も多い、
上陸用の小舟を降りて、夏潮に濡れるのもかまわず、走って陸に立った。
喜びにあふれているのがよくわかる。
  

Posted by okina-ogi at 07:55Comments(0)書評

2021年03月16日

『高浜虚子句集』より(梅雨)

                 上海の梅雨懐しく上陸す


ヨーロッパ旅行の帰路も上海に泊まる。
日本に近いことを梅雨が教えてくれる。
懐かしさがわく。
  

Posted by okina-ogi at 07:54Comments(0)書評

2021年03月15日

『高浜虚子句集』より(春草)

                   倫敦の春草を踏む我が草履


外国人に草履を履く風習はない。
春草と言っているが、芝生のことかもしれない。
人目に触れて恥ずかしいような、逆に自慢したい気持ちもある。
  

Posted by okina-ogi at 07:02Comments(0)書評

2021年03月14日

『高浜虚子句集』より(無月)

                  月も無く砂漠暮れ行く心細

砂漠の夜の経験は始めてだ。
しかも月も無く暗い。
足元に躓きそうなものもあるだろうが見えない。
心細い限りだ。
  

Posted by okina-ogi at 07:58Comments(0)書評

2021年03月13日

『高浜虚子句集』より(枯萩)

                  枯萩に添い立てば我幽なり


枯萩の背丈は高い。
風に揺れている。
その前に立ってみると、自分が幽界にいるような気分になる。
  

Posted by okina-ogi at 08:01Comments(0)書評