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2012年09月19日

柳田國男と島崎藤村の詩の世界の対比

柳田國男と島崎藤村の詩の世界の対比

明治30年、柳田國男は、学生ながら将来詩人としても大成してもおかしくない文学青年であった。この年島崎藤村は、「若菜集」を発表し、一躍脚光を浴びた。かの有名な「初恋」もこの詩集に載っている。
   「初恋」
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり


やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり


わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな


林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
柳田國男は、この頃松岡國男といった。彼の詩を紹介する。『哀調の旋律』―柳田國男の世界(亀澤克憲)からの引用になる。
「春の夜」
をぎつねきつね 春の夜を
せめてはなくな 故さとの
わら家の鳩が たまさかに
むかしの我を 思い出でて
夢に見にこん おぼろ夜に

一方、若菜集に載った藤村の詩は
「狐のわざ」
庭にかくるる小狐の
人なきときに 夜いでて
秋の葡萄の 樹の影に
しのびてぬすむ つゆのふさ

恋は狐に あらねども
君は葡萄に あらねども
人しれずこそ 忍びいで
君をぬすめる 吾心

この二人の詩をどのように比較して読むか。藤村の狐には化かされそうである。


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