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2012年11月22日

『鈴木三重吉童話集』

『鈴木三重吉童話集』  勝尾金弥編  岩波文庫   定価570円

 



 日本の童話作家の草分けのような人物である。それ以前に、巌谷小波という作家がいた。ともに、小説家から童話作家に転身した。以前から、鈴木三重吉の童話は読んでみようと思っていたところ、古本市(バザーの出店)で発見した。値段は、50円である。表紙は、新品に近いが、ページを開くとだいぶ黄色みがかっている。1996年の発行になっている。

 鈴木三重吉の名が残っているのは、大正7年に『赤い鳥』という雑誌を発行し、子供達に、質の高い童話、童謡、童画を当時の一流の芸術家を巻き込み、提供したことによる。大いに受け入れられ、芸術運動ともなった。大正デモクラシーの象徴的な出来事のひとつである。この『赤い鳥』に参加した、芸術家の顔触れは、作家では、芥川龍之介、有島武郎、小川未明、童謡では、北原白秋、西条八十、作曲では成田為三、山田耕作、本居長世といった錚々たるメンバーである。今日では、西の宮沢賢治とまで、賞賛されている当時無名作家に近かった、新美南吉の童話も載せ、世に出している。

 『鈴木三重吉童話集』には、美しいお姫様が出てきたりして、子供に戻った気分になって楽しく読めるのだが、童話ではない作品が、最後に収められている。「大震火災記」という題名で、関東大震災のことが克明に書かれている。昨年、東日本大震災を経験したばかりなので、当時の状況と今日が良く比較できる。首都が壊滅状態になり、10万人以上の人が亡くなり、地震と火災で多くの家屋が倒壊、焼失した。当時の計算では国の財産の10分の1を失ったと書かれている。日露戦争の戦費の5倍ともいう。各国の支援があったことも書かれている。こんな大災害から20数年で、戦争を起こしまたしても、日本中の大都市を焦土にした歴史が信じられない。そして、今日のように復興したことも。50円にしては、充分なほどの知識が得られた。


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