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2012年11月26日

金子みすずの詩

心に浮かぶ歌・句・そして詩58
 

 旅のメインは、青海島めぐりであるが、仙崎の地は、若くして世を去った金子みすずの生地である。昭和の初期、無名の詩人の詩才を西條八十は認めた。西條八十は、大正、昭和にかけ童謡,歌謡詩界をリードした。みすずの「大漁」の詩は、岩波文庫の日本童謡集にも収録されている。「積つた雪」の感性に、みすずの人柄が良く顕われている。
  
「積つた雪」
上の雪
  さむかろな。
  つめたい月がさしてゐて、

  下の雪
  重かろな。
  何百人ものせてゐて。

  中の雪
  さみしかろな。
  空も地面(じべた)もみえないで。

 雪をわが身に置き換えている。
  いくたびか雪の深さを尋ねけり
               子規
 の気分もわかるが、自他の別がみすずの世界には希薄である。
  ぬかるんでいつしか雪の暖かさ
 
という句はどうであろうか。
 自然と人間の対立のない世界を日本人は古来から意識してきた。大木とうっそうとした森に囲まれた神社の静寂な空間に身を置く時、そんな気分になることがある。
 数学者で文化勲章を受章した岡潔は言う。
  自分は自分という名の自分 
  他人は他人という名の自分
  自然は自然という名の自分
  それが意識できる人を日本民族という。
 
 少し哲学的な表現であるが、みすずの詩の世界に通ずるものがあるような気がする。一方、「積つた雪」の詩に冬の厳しい風土を想像できない。北陸から東北、北海道へと日本海を北上すればこうした詩が生まれてこないかもしれないとも思う。山陰長門仙崎の街は、それほど厳しい冬ではないのだろう。そうした分析の前に、みすずの精神性が、雪にでも寄せる優しさを内包しているということなのであろうか。それは、逆にみすずの人として満たされない日々の寂しさと無関係ではないともいえる。


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