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2013年05月28日

『福祉を廻る識者の声』12(新藤二郎)

鷲の如く                   新藤二郎
 榛名荘に初めて伺ったのは昭和三十年頃であった。新島学園の同僚が入院していて、私自身も結核療養所にお世話になった経験から何度かお見舞にあがったのである。室田のバス停から歩く途中の梅の香りが、病院をもつつむようであった。
 しばらくして、中学時代ともにサッカー部で苦楽を担い合った先輩である須貝新氏が院長として着任した。単身赴任の彼は、時折訪れる小生を院長宅につれてゆき、なつかしかった中学時代や仲間達の動静など、時のたつのも忘れて語り合った。父が聖公会の大先生であった須貝先輩は、明るく世話好きの名医であったが、帰京後しばらくして逝去され、残念ながら思い出の人となってしまった。
 十年程前になるが、新島学園高校のインターアクトクラブが地域社会への奉仕を考えたとき、生徒が継続的にお手伝いさせてもらえる場として榛名荘の姉妹施設、新生会の老人ホームが浮かんだ。クラブ顧問だった私は、故人となられた松島一男先生のお力添えを得て、日曜ごとに数名の生徒が、特別養護老人ホーム榛名憩の園にお邪魔することを許されて、生徒とともども何度か伺うことになった。
 ご承知の通り、核家族化が進んだ現在、子供達が老人に接する機会は極めて少なくなっている。まして、身体が不自由になられた方のお世話を少しでもすることは、大変貴重な経験で、老人問題、家族問題についていろいろ勉強させられるようである。
 人生の経験をつまれたお年寄りとの会話のやりとりからも、紙上の学問でなく、生きた経験の力強いこと、自分の将来はどうであろうか、もっと老人問題に関心をもたなくてはなど、さまざまの感想を訴える。
 年若い者も弱りかつ疲れ、壮年の者も疲れはてて倒れる。しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、鷲の如く翼をはってのぼることができる。
 イザヤの言葉をともに学びたい。
 
新藤二郎(しんどうじろう)。現在新島学園中学校・高等学校校長。府立五中、松本高校、東京大学卒業。一九五三年より新島学園に勤務。一九一九年生まれ。      (昭和六十一年・冬号)
 

   温石                       (昭和六十一年・冬号)
 外出には懐炉が必需品というご老人もいる。上州の冬は寒い。
他郷にて 懐炉しだいに あたたかし
                桂 信子
 懐炉の温もりは、体のみならず心をも温めてくれる。冬晴れの日、梅香ハイツと新築なった榛名春光園の白い建物が重なって里見街道からくっきりと見えた。入居者の多くは、他郷から訪れた人々である。昔は、石を火で暖め、布で包んで暖をとった。石の温もりもまたよい。
 新生会は、日本生命財団より助成を受け、地域の痴呆性老人のためのサービス事業を始めた。その広報誌の名前に〝温石〟を選んだ。福祉の仕事には時間がかかる。特に、在宅福祉は、行政とのからみ、住民意識の問題もあって尚更の感がある。しかし、一度温まったものは冷めにくい。〝温石〟と名付けたのもこのためである。(翁)


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