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2013年06月20日

『福祉を廻る識者の声』38(鬼頭 梓)

夢をみる                   鬼頭 梓
 佐伯洋一郎先生がケニヤに行かれて、デイスター大学で神学の講義を受け持たれてから一年余り経つ。先生はいつまでもそしてどこにあっても、ただ天をのみ仰ぎ、ただ前をのみ望んで常に前進してゆかれる方で、そんな先生らしく、ケニヤでの先生は早速また新しい夢をみられることになった。日本人の手で、大学の新しいキャンパス計画の一つである図書館の建築を大学に寄付しようというのである。先生は今その募金の計画に情熱を傾けておられるのだが、私もまたこの感動的な夢に直ちにまきこまれて、その設計を引き受けることとなった。
 建築というものは、その建つ土地とそこの人々とに深く結びついている。私はまだケニヤに行ったことはなく、もちろんどんな人々が大学で学んでおられるのか会ったこともない。見知らぬ土地の見知らぬ人々のために、そして日本とは全く異なる技術的な状況の中でつくられる建築の設計する、などという無謀なことに直ちに応じてしまったのにはそれなりの訳がある。一つは言うまでもなく先生の見ておられる夢を私も一緒に見たいという、真に単純明快な理由によるものだが、今ひとつは、建築の原点にもどって考えることの出来る貴重なチャンスだと考えたからである。ケニヤのナイロビというところは先生に伺うと日本の軽井沢のような所で、冷房はもちろん暖房もいらないのだという。そして建築の工法も壁を石で積んで屋根を架けるだけに近い素朴なものだと伺って、私の心は大きく動かされた。
 今日本では文明のおかげで快適ではあるけれど、まことに人工的な環境の中で生活していて、一方で建築は次第にその原点を見失ってきている。建築の原点、雨や強い日差しを防ぎ、通風を考え、人々の健康な生を肉体においても精神においても抱きかかえ支えてゆく、そんな素朴で純粋な建築をつくることが出来たら、と私は私なりに、佐伯先生とは又別の楽しい夢を見ているのである。

 鬼頭梓(きとうあずさ)。建築家。図書館建築の第一人者。キリスト品川教会グロリアチャペル、東京都吉祥寺老人ホーム等を設計。                      (平成四年・秋号)


寄附金                   (平成四年・秋号)
先日、郵便局に行くと、カウンターに〝国際ボランティア貯金〟と書かれた栞があった。貯金の利子の二十%を民間海外援助団体を通じて発展途上国に役立たせるしくみになっている。約十億円近いお金が平成二年度に寄附金として使われたとも書かれあった。元金十万円で、年間五百円の寄付に過ぎないが、多数参加すれば大金となる。
自民党の偉い人がもらったと認めた五億円は、一企業の献金。同じ寄附金でも目的が違うようだ。こちらは、利害がからみどこかにみかえりを求めるところがある。なんとも大味で私的な匂いが強い。このようなお金は〝献金〟とか〝寄附金〟と言わない方が良い。
論壇に寄稿された佐伯先生は、ケニアに図書館を建てるために募金を呼びかけている。鳥取大学の遠山教授は、内蒙古の砂漠に木を植えている。十月は、赤い羽根の季節でもある。(翁)


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