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2013年06月23日

『福祉を廻る識者の声』42(原公朗)

木組人組心組                  原公朗
 古い民家は、現在の日常生活に不便なため、急速に消滅しています。その様な中で奇跡的に思える程、ほぼ原形を残した民家が榛名町に現存しています。〝原本家〟と呼ばれていますが正確な建設年代は不明です。二百年とも三百年前とも言われています。石積の生垣に囲まれた敷地には、広い前庭を前に倉と母屋が南面して並び、背後に杉林が続いています。茅葺の大きな屋根はその形が兜に似ているところから兜造りと愛称されて、かつては関東以北の養蚕地方の特色でした。大戸をくぐって土間に入ると東側に厩があり、西側に民家の特徴である田の字型の居室が続いています。上階は屋根裏を利用した二重構造の養蚕室です。むき出しの柱や梁に残る手斧(ちょうな)や広刃(ひろは)の跡から当時の棟梁や木挽達(こびき)の息使いが聞こえてくるようです。更に彼等の組み上げた柱や梁の合理的で美しい木組を見ることが出来ます。囲炉裏火で燻されたこの木組の木肌は漆塗のように黒々と輝き、現代美とは異なったぬくもりのある感動を与えてくれます。
 〝木組は、木のくせ組、木のくせ組は、人組、人組は、人の心組〟と宮大工の口伝にあります。当時の木材の使用方法は、樹木がそれぞれの環境で育った自然の姿を可能な限り生かす工夫をしています。反りや曲がりのくせ木の持つ形をその木の特徴としてとらえ、互いのくせを適材適所に振り分け、組合わせて、強固で統一のとれた空間創りに腐心しています。木組に結集した先人達の英知が、今日までこの民家を支えて来た力となっています。くせ木を嫌い、規格統一化し経済性と能率化とを優先させ、一世代凌ぎの住宅を作り続けているのは、そのまま現代社会の思想の貧困と思われます。優れた建築や環境を創造することは現代に生きる我々にとって当然の義務と言えますが、長く継承されて来たこの民家を保存し次ぎの世代に伝えることも一層大切なことに違いありません。〝木組〟〝人組〟〝心組〟の先達の智慧を振り返り、後世に残すことの出来る建築を創りたいと念願しています。
 
原公朗(はらきみあき)。原建築設計事務所代表取締役。一九三三年、北海道旭川市生まれ。榛名春光園、ジョージが丘ホームの設計者。                    (平成五年・秋号)


公的助成                       (平成五年・秋号)
 二年ぶりに中国大陸に渡ったが、経済成長は加速し、インフレの心配もある。北京には高層ビルが建築中で、道路整備も急ピッチである。そのかわり物価も上がり、犯罪も増え、土地も高くなっている。市場経済の原理が働くのだから少しは反動もある。
日本に帰ってみれば、選挙制度の改革や政治資金の公的助成が華やかに議論されている。細川内閣の政治使命が、政治改革なのだから当然ではある。驚いたのは、公費から六百億円の助成を受けるという案が与党から出されていることだ。これは必要だからと思っても、公的助成に依存している社会福祉施設は、行政指導でなかなか目的をはたせないことが多い。くれぐれも官僚主導にならないように。公金だから、私的に使ったり、不正な支出は許されないが、少しは弾力的に使わせていただきたいのが政治家の本音。〝白河の清き流れに耐えかねてもとの田沼の濁り恋しき〟という歌もある。(翁)


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