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2013年06月25日

『福祉を廻る識者の声』44(村松敏夫)

「老い」と「老化」           村松敏夫
 私はこれまで三十年あまり〝老化〟という現象を科学的に説明しようとする医学者や生物学者たちの基礎になる仕事をしている。しかし、この領域を見渡しても結局のところ、ご承知のようにまだ〝老化現象〟、〝寿命〟について自然科学者は明解な説明はできないし、医者も薬学者も自信をもって老化を防ぐ方法も薬も提示できないでいる。勿論、私もその一人であるが、それでもこれまでの事実と問題点を学生に伝える義務を持っている。
ところで、この春私が新生会をお訪ねしましたが、その訳は、私どもが預かっている学生に自然科学の知識だけでなく将来、広い視野と深い人間性をもった医師や歯科医師になってもらわなくてはと思い、その見学の機会の恵与とご指導のお願いに参上した次第です。その訪問の折、理事長と園長さんの〝人〟は誰でも必ず〝老い〟るのです!という一言は〝老化〟を追う自然科学者の一人とってこの上のない衝撃であった。そしてその波紋は私の心の中で今も果てしなく広がっている。さらに犬と共に暮らせる老人ホームをつくりたいという園長さんの一言には追い撃ちをかけられた思いである。問答ではないが〝老化の解明をしようとする者もその前提に〝人〟であることの認識を忘れてはなるまいと、そして〝人間性〟とは?ともあれお二人からの重い〝問い〟を持ち帰った。また壮大な施設の計画のお話には私の〝器〟の大きさを問われた思いでもある。〝一日の長さは人種、貧富の差もなく平等で、得られる総熱量などの物理的なものも等しいものである〟が、英知ある者はこれをうまく利用して富あるものにならう。その富を己のためのみにするか、他人のためにもするのかが〝人間性〟とか〝器〟とかに関わるのかとも今もひそかに自問している。ともあれ、問われている〝老い〟と〝老化〟つまり、人文科学と自然科学との間を私自身うめなければなるまい。

 
村松敏夫(むらまつとしお)。東京医科歯科大学・教養部長教授、薬学博士。一九三二年、埼玉県本庄市に生まれる。                             (平成六年・春号)


赤松宗典和尚                    (平成六年・春号)
黒潮の漂う紀州は、みかんと梅の産地である。気候温暖、人々の気質にも温かいものがある。南紀白浜に近い南部川村本誓禅寺の住職、赤松宗典師に寄稿いただいた。赤松さんは、僧侶のかたわら梅を栽培し、〝薬師梅〟を作っている。人を愛し、自然を愛し、仏教を超えて、他の宗教に垣根を作ることをしない。教会の礼拝堂で、ひざまづきアーメンと十字を切り、頭をたれる赤松さんの姿は神々しい。      
父母に合掌すれば孝順となり/子供に合掌すれば慈悲となり
目上に合掌すれば敬愛となり/お互いに合奏すれば平和となり
自己に合掌すれば徳行となり/事物に合掌すれば感謝となり
神仏に合掌すれば信心となる     赤松宗典  合掌
最愛の子を「天に帰る約束の日」と表現した赤松さん。召されし真理子さんにも合掌。(翁)


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