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2013年06月30日

『福祉を廻る識者の声』49(中村千賀子)

孤室                    中村千賀子
「もう一日、もう一日って思っていたの」久しぶりのクラス会です。女ばかりの会は姦しいのですが、彼女のまわりだけはゆったりとした雰囲気が漂っていました。その暖かさにほっとしたのは私だけではなかったと思っています。
長男と結婚して三十年近く、彼女が心身共に弱った舅の介護に疲れ果てた時「もういいよ、充分尽したよ、施設に預けよう」と夫君。その言葉にほっとする反面、ボケが進みながらも古い嫁の自分だけを認知してくれる舅を施設に預けるのは忍びないと、一日、もう一日と躊躇していたとのこと。家族はそれぞれ仕事で介護役は彼女一人、頑張っても結局はダウン。ついに彼女自身の精神科への受診をきっかけに舅を施設にお願いしたいという話でした。

今では高齢者のための施設も多くは鉄筋コンクリートで、マンションといってよいほど、個室を中心とする立派な建物です。でもその中に一歩足を踏みいれれば金属の扉で仕切られた隔離部屋。書斎であればさぞかし仕事がはかどるであろう静けさ、見方によっては狐室、孤独な入れ物であることも少なくありません。そんな施設に舅を預けがたいというのが彼女の悩みでした。施設とは、乗馬をこよなく愛していた舅をそれまでの豊かな生活から切り離し、身一つで隔離するようなものだったのでしょう。

新生会に出会っていたなら彼女は苦しまなくてすんだかもしれません。確かに神は人間に無駄なものをお与えになりません。与えの貧困な施設への思いに端を発する彼女の苦しみをきっかけに神様が彼女に贈られた暖かさ、穏かさに感謝したいとも思います。
でも、でも::現在の思いについては聞きそびれているのです。

中村千賀子(なかむらちかこ)一九四五年生まれ。お茶の水女子大卒。東京医科歯科大学歯学部助手を経て、現在同教養部人間科学教育担当。                  (平成七年・夏号)


明治三十八歳                (平成七年・夏号)
 元内閣総理大臣福田赳夫先生が、死去された。先生は、新生会の社会福祉事業に深い理解を示され、長く後援会の会長をつとめてくださった。
 先生が、自民党の最高顧問として福田派の領袖であった頃、清和会の事務所にお訪ねしたことがある。国会開期中、議事堂から駆けつけてくださった。愛用のショートホープを一服する間もない程の時間だったが、誠心誠意耳を傾ける先生のお人柄に感激した。
 「時間だから」と言って席を立たれた先生の身のこなしと歩き方を見て、「先生、お若いですね」と声をかけると、「明治三十八歳!」とおっしゃり、記念写真に快く応じてくださった思い出が懐かしい。
 政治家を批判する人は多いが、〝政治は最高の道徳〟といった先生は、王道を行く人の風格があった。ご冥福をお祈り申し上げます。(翁)


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