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2013年07月25日

終の住み家を老人ホームに定めた人々4

長寿にして健やか      中野貞さん(平成六十一年・夏号)
 中野さんと話していると、百歳にもう少しで手が届く年齢などとは信じられない頭の回転のよさと気力の充実を感じる。明治二十二年十二月十日生まれというから誕生日がくると九十七歳になる。新生会には、四百人近い老人が生活されているが、中野さんは、長寿番付二位。しかも、長寿にして健やかな点が光っている。
 「歩くのが億劫」。「耳が遠くなった」と体の不自由さを口に出すが、俳句を創り、書道に励む姿は精力的である。大きな虫眼鏡で聖書を読んでいる姿にもよく出会う。中野さんのとりわけすばらしいところは、他人を思いやる心の余裕とユーモアのセンス、そして淡々と死に向う態度だと思う。
 「今年の夏にはなんとかお迎えにきてもらえるような気がするのよ」と言って笑い、
 「もうそろそろ寝たきり老人になりたいと思います」と妙な宣言をして寮母をからかうこともある。
 中野さんが、今もって感謝し尊敬の念を寄せる人がいる。七歳~十四歳まで養育してくれた継母である。南国土佐の士族の娘らしく、明るい人柄で、教育に熱心な人だった。この母に大層可愛がられ、子供の時の七年間の思い出は、今も懐かしく残っている。女学校の一年のときに亡くなったが、そのときの深い悲しみ、寂しさが〝人生いかに生くべきか〟の自らへの問いかけの基点になった。プロテスタントである中野さんに、キリストの教えは決定的であったが、西行や芭蕉といった人生の求道者にも惹かれるところがあった。七歳のときに作った短歌がある。
 光陰は人をばまたず今ははや
     年の暮れともなりにけるかも
(翁)


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