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2013年08月13日

夏の映画2題

 
 夏の映画2題
 土曜日(8月10日)、仕事を終えて、高崎駅に近い映画館に直行。映画2本を観ることにした。こんな体験は、久しくない。学生時代以来か。最近の記憶にはない。1本目は「風立ちぬ」堀辰雄に同名の小説があるが、主人公は、堀越二郎である。ゼロ戦の設計者として知られているが、群馬県藤岡市の出身で、企画展が開催されているらしい。
 宮崎駿監督のアニメは、何本か見ている。この人の作品を見ているとアニミズムの世界を意識するのは私だけであろうか。夢の世界のとらえ方が独得だ。自宅の屋根に据え付けられた木製の飛行機が飛び立つところから映画は始まる。操縦するのは、堀越少年である。眼下に見える風景は、明治時代後期の日本である。時代考証も見事である。看板の文字は右から書いてある。
 映画の内容は、これ以上説明しない。しかし、夏の映画に相応しく、夏の森や田園風景、夏衣裳の描写が素晴らしい。なんとなく懐かしくもあり、清涼感がある。夏休みは、宿題もあって思い切り遊んだ記憶はないが、木陰で読書した想いで残っている。自分にも書物の世界想像をめぐらした時代があったのである。
 2本目の映画は、「終戦のエンペラー」である。主人公は、フェラーズ准将。マッカーサーの副官として、戦後日本の戦犯を追及する。天皇が戦犯として裁かれる可能性があった。しかし、東京裁判で戦犯として裁かれることはなかった。開戦において、天皇の戦争責任がないということは、証明できる客観的な証拠は見いだせなかった。しかし、終戦に導いたのは、天皇の聖断によるところが大きい。さらに、天皇が国民に愛されていたことをフェラーズ准将は、理解する。親日の人と言うこともあるが、日本人の心理、文化に対する洞察力があった。小泉八雲の日本人観も参考にしていたらしい。
 天皇を戦犯として訴追しない方針を連合軍の総司令官であるマッカーサーがとった決定的な場面は、両者の会見である。この時、マッカーサーは、天皇が命乞いに来たのだと思っていたらしい。「全責任は自分にある。裁いて結構である」と仰せになったという。このような元首がかつてあったであろうか。マッカーサーは感激した。思えば、2.26事件を鎮圧する命を出したのは昭和天皇であったが、天皇が直接命を下すことは、明治憲法においても問題があるとされた。以来、昭和天皇は気持ちを伝えても発言は控えた。開戦にあたって明治天皇の御製を詠んだ。「四方の海みな同胞と思う世になど波風の立ち騒ぐらん」と。昭和天皇が一貫して平和主義者であられたことは、今日多くの人が認めるところである。
 蛇足だが、2本の映画に共通して、煙草を吸う場面が多いことである。結核で臥床する妻の前で煙草を吸う堀越二郎は、現代人の感覚からすると奇異に映るかもしれない。


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Posted by okina-ogi at 00:13│Comments(0)書評
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