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2013年11月11日

「徳富蘆花『黒い眼と茶色の眼』を読む」

 
 
「徳富蘆花『黒い眼と茶色の眼』を読む」
 11月10日(日)、安中市にある「安中市学習の森ふるさと学習館」で講演会があった。講師は、群馬県立土屋文明記念文学館の学芸係長の木村一実氏。大河ドラマ「八重の桜」も終わりに近づいている。講演の内容は、この日放映される「八重の桜」の下地になっている。小説『黒い眼と茶色の眼』は、岩波文庫から出版されていたが、絶版とのこと。古本で手に入れるしかないという。「八重の桜」に合わせて再版しても良かったのではないかと思った。
 小説のタイトルになっている黒い眼の人物は、新島襄である。小説の中では飯島先生となって登場する。茶色の眼の人物が山本久栄である。新島八重の兄の山本覚馬の後妻の子供である。小説の中では山下寿代となっている。明治19年、二度目の同志社入学の時に、蘆花青年はこの女性と恋愛関係になる。恋敵もいたらしい。新島家、山本家からも反対され、蘆花は失意のうちに同志社を退学し、京都を去る。蘆花の結婚の最大の障害になったのが、新島八重だったようだ。その理由が講演では良く分からなかったが、来週放映される「八重の桜」で紹介されるようだ。
 大正という、失恋体験から30年近くになって、なぜこのような自身の心の傷と、同志社設立の中枢にあった人々の身辺を世間に小説とはいえ発表したのかは、最も理解に苦しむところだったが、蘆花の他の作品『自然と人生』、『みみずのたわごと』等読んでも、品格の低い人物では決してない。蘆花の妻にとっても、当時健在であった八重さんにとっても迷惑な小説と感じたであろうと思った。墓場まで他人には言えないことは、政治家ではなくてもあるような気がするのだが。


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Posted by okina-ogi at 13:03│Comments(0)日常・雑感
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