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2013年11月25日

『侘助』(拙著)我もまた城崎にて(上)

我もまた城崎にて
 五十路を迎えて温泉が好きになった。自宅の風呂などは、シャワーで済ますことが多いのに、温泉に行くと湯船に長く浸かって飽きることがない。夏の山深い温泉地に行き、渓流の水音を聞き、濃い緑が目の前に広がるのを見ながら湯殿にいる時間は至福な時間である。山陰には、群馬に劣らず名湯がある。兵庫県にある城崎温泉などはその筆頭であろう。一昨年、鳥取の三朝温泉に行き、旧友と再会した。その友人を昨年は、伊香保と草津に案内した。温泉で寛ぐのも目的ではあるが、なにより将棋と酒である。そして、俳句も含めた文学談義が、酒の肴のような位置を占めている。昨年の夏、友人を高崎駅に送り
「来年の夏には、城崎あたりで酒を飲みながら将棋を指しましょうや」
と言って別れたのだが、それが実現した。
 群馬から山陰を訪ねるのは、交通の便は良いとは言えない。山陰本線があるとは言え、その本数も少なく、単線であり、海岸線を走ることもあり時間がかかる。友人は、津山に住んでおり、自家用車で鳥取空港まで迎えに来てくれるという。日本海側には高速道路はないが、それなりに整備された国道がある。津山市から鳥取市までは、約二時間、鳥取市から、城崎温泉までは、三時間ほどである。
 昼十二時過ぎに空港に着き、友人が出迎えてくれた。少し赤ら顔で、夏の太陽で日焼けしたのかと思ったら、近づくと酒気を帯びている。一時間ほど前に空港に着いたので、生ビールを二杯飲んだのだという。鍵を渡された。道中長いので、少しは車の運転するからと電話で話しておいたのが、空港からということになった。将棋に先手必勝というのがあるが、まさに先手を取られてしまった。
 鳥取空港の近くには景勝地がある。白兎海岸もその一つだが
「ただの海岸じゃ、目的地と反対方向だから、行かんでもええ」
とつっけんどんに言う。

「それよりも飯食べておらんじゃろ。砂丘でも行くか」
もうひとつの景勝地の鳥取砂丘には、行かしてもらえることになった。蟹そばを御馳走になったが、彼氏は冷えたビールを美味そうに飲んでいる。
「わしは、砂丘には行かんよ。お前行ってこい。そこの長靴借りてな。今晩の旅館に持ち込む日本酒を買って待っているから。お前も一本買え」
砂丘で長居するなと言わんばかりである。想像していたとおり、砂丘は広かった。海岸まで行けば、三十分は優にかかる。観光客を乗せる駱駝が座ってつまらなそうに海を眺めていたので、砂丘に添えるように写して帰ることにした。後で気づいたのだが、駱駝の写真撮影も有料になっていた。


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