2014年09月08日
『紀見峠を越えて』 高瀬正仁著 萬書房 2300円+税
数年ぶりに、九州に行くことになり、再会したい人がいたので電話したところ、会いましょうということになった。最近、本を書いたという。その本がこの本である。先日、アマゾンで注文したら昼過ぎに届いていていた。ゴルフ帰りの疲れもあったが夕刻までに半分ほど読めた。著者は、数学者で、九州大学で教鞭をとっている。数学者、岡潔の著作を数多く世に出している。数学者になったのも岡潔に惹かれたからである。群馬出身という同郷のよしみもあり、何度か親しくお話させてもらっている。この作品は、著者が魂をもって書いたと言っているように、長年の岡潔の世界の追求が、著者の確信に近いものとなって表現されている。
高次元の、数学の世界はわからないが、岡潔の人となりにには、若い時に一度お会いしてから、今を持って惹きつけられるものがある。岡潔が高い評価を与えた、芭蕉や道元を引用しつつ、この世に珍しい無私の人だったという点は、同感するところである。「解決の当てのない難問をみずから創造し、何らの打算も行わず、百尺竿頭なお一歩進める気魂をもって数学研究に打ち込んだ岡潔」というところは、著者も岡潔を数学の詩人と評したように、数学の詩人高瀬正仁といっても過言ではないかもしれない。再会が楽しみである。
Posted by okina-ogi at 19:27│Comments(0)
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