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2014年09月23日

『白い航跡』 吉村昭著 講談社文庫(上・下)ともに627円



友人から薦められて読んだ。主人公は、高木兼寛という人物。薩摩藩郷士から医学を目指し、海軍軍医総監となり、男爵にもなった明治の典型的な立身出世の人生を過ごした人だが、陸軍軍医総監になり、文豪でもあった森鴎外のように名前は知られていない。慈恵医科大学の創立者でもあり、看護婦の養成にも尽力した。
イギリスに留学する機会を与えられ、帰国後海軍の食制の改革に力を入れた。当時、脚気の患者が多く、海軍でもその対処に苦慮していた。その原因が当時分からなかったが、日本人の食生活が関係しているのではないかと確信をもつようになり、主食を白米から麦に変えようとしたが、兵士の抵抗と予算の増大により実現がなかなかできなかったが、脚気患者の急増に海軍は、彼の案をとりいれた。遠洋航海で脚気による死者を出したのと同じコースで試す機会が生まれ、その結果は、成功した。もし、失敗したら死ぬつもりでいたらしい。人のため、国のため命がけに行動できるとろが、明治人の祖国愛である。
日露戦争でも脚気による死亡者は多かった。特に陸軍では大変な数であった。陸軍は、ドイツ留学から帰った、森鴎外が細菌説を唱え、首脳部も従来の食制を変えなかった。現代では、脚気はビタミンの摂取が関係することが知られているが、それが明らかになったのは、鴎外や高木兼寛が他界してからのことであった。
晩年は、子供達に先立たれたり、辛い日々を過ごしているがその功績は輝いている。明治天皇も脚気に悩まされ、御前で2度高木の意見を聞いている。周囲から批判され孤高でもあったが、明治天皇が心の支えでもあったのである。


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『白い航跡』 吉村昭著 講談社文庫(上・下)ともに627円
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