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2014年10月08日

嵐の中の都会の休日(2014年10月)

 


台風一八号が九州地方に接近する十月四日(土)、二泊の予定で福岡を起点に、由布院日帰り旅行を決行した。台風の進路によっては、飛行機も欠航し、鉄道も運休する可能性もあった。「決行」という言葉には、そんな気分も含まれている。由布院は一度友人達と、ゆかりの宿に宿泊したことがある。亀の井別荘という旅館で、高級宿である。十一月の紅葉の始まる季節だった。この宿は、物理学者として知られる中谷宇吉郎の甥が経営者になっている。由布院の街おこしは有名で、亀の井別荘の主人である中谷健太郎さんもその立役者の一人である。宿泊した時、御挨拶させていただいたことがある。
 今回は、福岡市からの日帰り旅行にして、由布院の町をゆっくり散策し、由布岳を眺め、自然の残る高原の清楚な町を楽しみ、金鱗湖にも行き、歩き疲れた体を日帰り温泉で休め、往復を「ゆふいん号」というレトロな列車を利用して、旅情に慕ってみようというものだった。この計画は、台風のため断念せざるを得なくなった。日曜日、台風は宮崎県沖にある。列車は運休にはなっていないが、天気予報では、大分地方は風雨ともに激しく、とても旅行を楽しめる状態ではない。
 ホテルは、博多駅の筑紫口に近いホテルにしたのだが、午前十時以降、午後三時までは、部屋を出なければならない、五時間を福岡の町で過ごさなければならない。幸運なことに風はあっても雨は降っていない。時折晴れ間ものぞいている。明日の飛行機のことが心配になってきた。空港に行き、往復とも全日空のマイレージのポイントを利用して無料で購入できた搭乗券なので、変更が可能か確かめる必要があった。欠航であれば、変更ができることを確認できた。博多駅から地下鉄で福岡空港までは二駅という便利さである。明日の帰宅がなんとかなるという安心感で、普段は通り過ぎるだけの空港の設備をじっくり見て見ようと思った。
 


二階が出発ロビーと土産物店になっている。全日空のマイレージポイントがたまるクレジットカードは、全日空の販売店では一割引になる特典がある。土産物を買うならばこの店に限る。明太子の品物を見ると、老舗店で有名な「福さ屋」のものは、どこの販売店でも値段が変わっていない。年会費のあるクレジットだが、今回は大変恩恵を受けたことになる。最近退職した友人に送別ができなかったので土産を買うことにした。家人、親戚の土産は出発当日で良い。昼食は、三階がレストランになっていて、和洋中華まで選択肢が多い。場所も場所だから値段は安くはないが、昼は軽めにうどんにした。
 食事が終わったら、博多駅まで戻り、天然温泉のあるホテル行くことにした。由布院の日帰り温泉の変わりである。この情報は、空港にあったパソコンの有料のインターネットで検索して調べたのである。博多口から徒歩五分と書いてある。駅からこんな近くに天然温泉があるとは嬉しい。ビルの合間のそれほど風情のある湯殿ではなかったが、ゆったりと湯に浸かることができた。風呂上がりのビールも美味かった。
 ホテルに戻り、夕食までひと眠り。メールが入り、今晩の夕食は、風邪のため御一緒できないという内容。一人ではつまらないだろうから、カウンターで会話ができるような海鮮料理の店が駅ビルの十階にあるから行ってみてはどうかと調べてくれた。メールの主は、福岡の友人である。昨夜は店を予約してフルコースで歓談できたが、後半からそういえば声の調子が悪かった。無理はしない方が良い。学生時代からの友人で、福岡の在住のため当地では大変世話になっている。これまた福岡に四十年近く住んでいるが、群馬県の出身の友人も同席し、二人は初対面ながら打ち解けて楽しい時間を過ごすことができた。
博多駅の駅ビルは、最近改装されたようでりっぱなエレベーターがある。友人お薦めの店で、地魚の海鮮料理と焼酎をいただき、エレベーターに。ほろ酔い加減の人が載っていたが、各階ごとに停まる。降りる人や乗る人がいない。へんだなあと思っていたら、小さな子供が停止ボタン押している。罰悪そうに、妹に向かって「押したと」と博多弁で妹に責任を押し付けている。顔は笑っている。乗っている人からも笑いが起こる。途中降りて行ったが、皆が手を振っての別れとなった。実に微笑まし場面になった。
往復の飛行機が只となったとはいえ、九州まできて観光せずに休日を過ごすことは、なにかもったいない気がしてはいたが、都会というものは、つくづくと生活には便利にできていると思った。移動手段も多く、外食にも困らない。一人で静かに読書できる場所もある。空港に行った時、滑走路を離着陸する飛行機を眺められる場所があって、そこで数時間、持参した本と、福岡博物館で購入した本を読むことができた。戦国のキリシタン大名である黒田官兵衛と高山右近である。秀吉がキリスト教を容認しなくなってからの二人の生き方は違っているが、友情があった。今回、由布院を訪ねる動機は、数学者岡潔と若くして亡くなった考古学者中谷治宇二郎の友情の地だったからである。土曜の夜、私の友人二人と会食した席の主なテーマも友情についてだった。友人との再会、都会の休日、無駄な旅になっていない。加えて、黒田官兵衛は棄教していなかった事実。帰郷してブログを訂正しなければならない。


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