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2014年10月11日

『高山右近』 加賀乙彦著 講談社

著者は、東京大学卒業の精神科医でもある。学生時代に『フランドルの冬』という北国の冬の空のような小説を読んで以来、その名前を忘れていた。高山右近に関心が向き、同名の小説を加賀乙彦が書いているのを知った。古本屋で買って読みかけになっていた。
長谷部日出雄の『まだ見ぬ故郷』は、高山右近の生涯を、エピソードなどを織り込み時系列に描いているが、この小説は、秀吉により大名を捨て、前田利家に抱えられ、いまどきの言葉で言えば中高年からの高山右近が描かれている。もはや、揺るぎのないキリスト教信者となり、政治の世界とは一定の距離を置いた高山右近である。
千利休の高弟の一人である、茶人としての描写もあるが、必然的に国外追放という十字架への道を、雪深い金沢から京都を経て長崎に向かう姿の中に、武将として多くの合戦を戦った地を通り過ぎながら回顧する手法も印象的である。加賀乙彦も洗礼を受け、カトリックの信者になっている。
今年、とりわけクローズアップされている黒田官兵衛もキリシタン大名であったが、戦いに明け暮れた戦国時代に、キリスト教が武将の中に広まったのは、考えさせられるものがある。蒲生氏郷、小西行長と名だたる大名もキリスト教に帰依している。高山右近の影響があった。幼い時に洗礼を受けた高山右近の信仰は、他の大名よりも深かったことは事実のようである。この本で気づいたことがある。高山右近が、マニラに追放され時は、大阪城をめぐる、徳川と豊臣の攻防の時期であった。キリスト教を信仰する武士が、多く大阪城に集結した事実がある。家康は、キリスト教を禁止したから当然の結果であろうが、高山右近が豊臣方につくことを恐れたと書いてあった。それほどに、高山右近は政治から離れていても、武将としての名声と人望があったということである。


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『高山右近』 加賀乙彦著 講談社
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