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2014年11月28日

法律門外漢のたわごと(介護保険法)

社会保険労務士試験の択一試験に必ずと言って良いが、一問だけ出題される。介護保険法は、まだ社会保険の法律の中で重みがないのかも知れないが、今後は、そうではないかもしれない。介護支援専門員という資格がある。洋風にケアマネージャーと呼ばれている。高齢者の介護サービスの計画を作る人と言ったら良いだろう。社労士よりも地味な仕事だが、高齢者やその家族を支える仕事だからやりがいがある。「あなたは、何のお仕事をなさっているのですか」と尋ねられたら、堂々と「ケアマネじゃ」と胸をはっても良い。
ところが、お手当は弁護士、公認会計士、税理士、社労士のように高額なものではない。介護支援専門員が働く事業所を居宅支援事業所というが、収支がマイナスになる事業所が多い。支出のほとんどが人件費である。
介護支援専門員には、中立、公正、守秘義務などが課せられていて、高い倫理観が求められている。それは、当然としても、基本的に残すべき記録が決められていて、実際行っていても記録がないと、保険者の監査によって減額や全部を返還させられる。
介護支援計画(ケアプラン)があっても、同意をもらっていないと介護報酬は、翌月からゼロになる。しかも、報酬単価の高い特定事業所である場合は、その月の加算もゼロになる。大変な収入減になる。
人間にはうっかりということもある。つまり過失というケースである。過失の場合は、保険の給付が全額支給されないということはない。故意は、給付されないのは当然である。不正ももちろんである。公的な保険で共通していることがある。不服や、異議申し立てができる点である。裁判に至る前の訴訟のようなものだが、実際その場面に遭遇していないのでピンとこないが、こんな話を聞いた。
地震でいつ潰れてもおかしくない家に一人暮らしをしている老人がいた。デイサービス、訪問介護、訪問看護の介護保険サービスを使っていた。居間は、一つで昼間は暗く、昼夜炬燵で過ごしている。部屋は物が散乱している。一人でトイレにも行けなくなった。担当していた、介護支援専門員は、限界を感じ、こうした困難事例を担当する特定事業所に依頼した。依頼を受けた、特定事業所の介護支援専門員は、家族、担当事業所と打ち合わせをし、入所施設も利用できるプランにし、引き継いだ。家族は、安心し、冬は施設で過ごすことができた。
ところが、監査があって、ケアプランの同意の記録がないというので、新たな計画までの数カ月は、無報酬になり、事業所の加算もその間返還しなければならない。100万円以上の金額になる。監査官は「決まりだから」と数時間の指摘で立ち去ったという。数か月間、家族や事業者と連絡をとったり、利用者も訪ね何もしなかったわけではない。
何かおかしいとは、お思いになりませんか。税務署の立ち入り検査よりも厳しい。行政は、民間を育てる役目もあると思う。不正や故意は、厳しく指導しないと制度が成り立たないから見逃すわけにはいかない。介護支援専門員は、保険者のために働いているのではない。決まりも大事だが、利用者のための行為がどうだったかは、記録が残っているのだから評価しても良いと思うし、ケアプランに署名がされた記録がなくても同意はあったことは、家族の証言があれば、証明できる。行政に異議申し立てすればと助言したいが、指摘を受けてから60日が過ぎている。もはや、その手段はない。「事業所が指定廃止にならなければ良い」とあきらめ顔。やはり、今もお上は強いのか。


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Posted by okina-ogi at 17:28│Comments(0)日常・雑感
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