☆☆☆荻原悦雄のフェイスブックはこちらをクリック。旅行記、書評を書き綴っています。☆☆☆

2014年12月09日

『春宵十話』(4) 岡潔著 毎日新聞社

『春宵十話』の中に、「日本的情緒」という項目がある。その中に、善行のできる人を紹介している。岡潔の三高時代の友人で松原と言う人がいたが、試験日を間違い単位不足で卒業証書がもらえなかった。追試験をできるように、友人達が嘆願したが、本人は、意に介せず郷里に帰ってしまった。そのとき、彼の残した言葉は、「自分はこの講義はみな聞いた。(ノートにみなうずめたという意味である)これで試験の準備もちゃんとすませた。自分のなすべきことはもう残っていない。学校の規則がどうなっていようと、自分の関しないことだ」というものである。
そして、岡潔は、
「このくにの人たちは、社会の下積みになることを少しも意としないのである。つとめてそうしているのではなく、そういうものには全く無関心だから、自然にそうなるのである」と言っている。岡潔は、自分の名誉のために、有名になるために数学の研究をしたのではなく、菫が菫のように咲いただけだと人生を振り返っている。
さらに、「今の教育は、個人の幸福が目標になっている」とも言い、戦後民主主義の中で「国民の一人一人が取り去り兼ねて困っているこの本能に、基本的人権とやらを与えようというのですか」とも言う。権利ばかりを要求することは、教育の目標になってはいけない。道義が必要だとも。


同じカテゴリー(書評)の記事画像
『ギリシャ人の物語』 塩野七生著
『孤独のすすめ』 五木寛之 中公新書 740円(税別)
『投資なんかおやめなさい』 荻原博子著 新潮新書 760円(税別)
『鴎外の坂』 森まゆみ 中公文庫 895円+税
『白秋愛唱歌集』藤田圭雄編 岩波文庫
『人間中野正剛』 緒方竹虎著 中央文庫
同じカテゴリー(書評)の記事
 アレキサンダーの征服領地の広さの秘密 (2018-01-04 17:23)
 アレキサンダー大王(塩野七生『ギリシア人の物語』より) (2018-01-02 15:09)
 『ギリシャ人の物語』 塩野七生著 (2017-12-23 17:02)
 下山の風景 (2017-12-16 11:30)
 『孤独のすすめ』 五木寛之 中公新書 740円(税別) (2017-12-13 12:03)
 『投資なんかおやめなさい』 荻原博子著 新潮新書 760円(税別) (2017-12-12 10:43)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
『春宵十話』(4) 岡潔著 毎日新聞社
    コメント(0)