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2014年12月09日

『春宵十話』(4) 岡潔著 毎日新聞社

『春宵十話』の中に、「日本的情緒」という項目がある。その中に、善行のできる人を紹介している。岡潔の三高時代の友人で松原と言う人がいたが、試験日を間違い単位不足で卒業証書がもらえなかった。追試験をできるように、友人達が嘆願したが、本人は、意に介せず郷里に帰ってしまった。そのとき、彼の残した言葉は、「自分はこの講義はみな聞いた。(ノートにみなうずめたという意味である)これで試験の準備もちゃんとすませた。自分のなすべきことはもう残っていない。学校の規則がどうなっていようと、自分の関しないことだ」というものである。
そして、岡潔は、
「このくにの人たちは、社会の下積みになることを少しも意としないのである。つとめてそうしているのではなく、そういうものには全く無関心だから、自然にそうなるのである」と言っている。岡潔は、自分の名誉のために、有名になるために数学の研究をしたのではなく、菫が菫のように咲いただけだと人生を振り返っている。
さらに、「今の教育は、個人の幸福が目標になっている」とも言い、戦後民主主義の中で「国民の一人一人が取り去り兼ねて困っているこの本能に、基本的人権とやらを与えようというのですか」とも言う。権利ばかりを要求することは、教育の目標になってはいけない。道義が必要だとも。


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Posted by okina-ogi at 12:47│Comments(0)書評
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