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2014年12月10日

『春宵十話』(5) 岡潔著 毎日新聞社

岡潔は、数学者であったが、芸術や文化についても深い洞察力を持っていた。作家では芥川龍之介と夏目漱石の作品を評価し、とりわけ芥川龍之介の言葉を本著の中に引用している。二人とも俳句も作った文豪である。俳人の俳句鑑賞と岡潔の観賞力は次元が違うように感じ、俳句と言うのはそういうものかと思うようになった。
西洋文化については、近代数学をやりながら、あまり肯定的に見ていない。「ローマ時代は暗黒の時代」とも言っているし、ギリシャ文化についても、岡潔の文章を引用、抜粋すれば次のようになる。
「ギリシャ文化の系統といっても、二つの面がある。一つは力が強いものがよいとする意志中心の考え方である。芥川龍之介が『ギリシャは東洋の永遠の敵である。しかし、またしても心ひかれる』と表現し、また私の親友だった考古学者、中谷治宇二郎が『ギリシャの神々は岩山から岩山へと羽音も荒々しく飛び回っていた。しかし、日本の神々は天の玉藻の舞いといったふうだった』のもこの点を指したものだと思う。この部分は決してとり入れてはならない。何事によらず、力の強いのがよいといった考え方は文化とは何のかかわりもない。むしろ野蛮と呼ぶべきだろう」
また、真善美とは「悠久なものの影」という芥川龍之介の言葉の引用も記憶に残ったし、「秋深き隣は何をする人ぞ」の句を「茫々たる300年、この荘重の調べをとらえ得たものは独り芭蕉あるのみ」という彼の言葉を引用しているのは印象深い。他のエッセイ『紫の火花』も芥川の作品からとっている。


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