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2014年12月19日

『昭和への遺書』 岡潔著 月刊ペン社

本に自筆で「○○君より贈呈」と書かれている。日付があって昭和52年4月25日となっている。岡潔を自宅に訪ね、高揚した気分が残っている頃に、友人が買い求めて送ってくれたのである。時は、春である。繰り返し、繰り返し読んだ記憶がある。もうこの本は、再版されていないと思う。昭和50年の刊行なので、岡潔の最晩年の著作になる。副題があって、「敗るるもまたよき国」となっている。岡潔は、俳句も作っている。号は、石風で「敗るるも亦よき国の冬の朝」からとっている。愛国心という以上に、日本を憂い、人類存続を危惧した人である。本書にも、その思いが綴られている。
この頃岡潔は、心そのものを探求し、内容は難解になっている。仏教用語で心を説明しているのだが、無差別智という言葉が出て来る。真我というのも仏教用語である。その対象としての自我というものを抑止することを述べている。無差別智を働かせるには、自我が邪魔になるというのである。無差別智の内容はわからないが、自宅で聴いた話を思い出し、その主旨がよくわかった。心の働きは、造化の主宰によるということである。大学で自然科学の流れの中にある心理学を学んでいたので180度の転換である。行動主義の心理学というのがあって、刺激と反応との関係から心理を研究する理論だった。なにかものたりないものを感じていたので、岡潔の考えに惹かれた。
さらに、文化や芸術への著述もあり実に新鮮な内容だった。日本の歴史にも触れ、紹介される詩歌が心に沁みた。岡潔が評価する人物も登場し、その人たちの著作や人物像をこの本によって調べて見ようと言う気になった。


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