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2015年04月23日

『この世この生』 上田三四二著 新潮文庫

上野の東京国立博物館の特別企画展で、鳥獣戯画が展示される。それに伴い、京都栂尾高山寺のゆかりの品も展示される。高山寺と言えば、明恵上人である。紅葉がまだ早い季節、男一人で訪ねたことがあった。傘の用意もなく雨に濡れた記憶が残っている。しかたなく、神護寺で雨宿りした。
河合隼雄や白洲正子の著書に導かれ明恵上人を偲ぶことができたが、他に明恵上人に触れている作家はいないかと探していたらこの本に目が留った。4人の僧をとりあげている。西行、良寛、明恵、道元である。4人とも心惹かれる人物である。人物の紹介も為されているが、著者の死生観を語っている。上田三四二は京都帝国大学の医学部を卒業し、医師になった人だが、2度大病して死を見つめるようになった。
明恵は「顕夢明恵」というタイトルで紹介されている。長い年月、自分の見た夢を書き綴ったことで知られている。心理学者の河合隼雄はこの点に着目した。上田三四二は、歌人でもある。「あかあかやあかあかやあかあかやあかあかやあかあかや月」という明恵上人の歌をとりあげ、明恵上人は自然詩人であるといっている。
上田三四二の死生観だが、吉田兼好の死後の世界を意識しない生き方に共感しているようだが、西行をとりあげ比較しているところを読むとそれほど断定的なものではないようだ。病気をすれば死を意識するのも当然だが、『病状六尺』を書いた正岡子規の言葉を思い出した。「悟りというのは、いかなる場合にも平気で死ねることかと思ったが、悟りとは、いかなる場合にも、平気で生きていることであった」


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