☆☆☆荻原悦雄のフェイスブックはこちらをクリック。旅行記、書評を書き綴っています。☆☆☆

2015年08月04日

シーボルトの行状



『ふぉん・しいほるとの娘』読了。文庫本ながら、上下で1300ページを超える。久しぶりの長編だった。歴史的事件も挿入され、幕末に向かう時代が良く描かれていて大変参考になった。シーボルトについての印象は良くない。シーボルト事件で国外追放になったが、彼の行動によって多くの日本人が罪に問われた。どちらかというと、日本人の甘さが目立つ。お人良しなどというものでは済まされない。そこへ行くとシーボルトの計画性、強引さ、したたかさが対照的である。
お滝との間に稲が生まれるが、獣性を感じる。それは、再来日したときに、60を過ぎているのに関わらず、お手伝いの間に性交渉を持つ。また、幕府に外交顧問になり、その報酬交渉も抜け目ない。通訳になった青年は、獄舎に繋がれることになる。
それに、シーボルトに産み落とされた稲の生涯も決して幸せとはいえない。高子という娘を産むが、望んで生まれたわけではない。史実かどうか、はっきりしないというが、シーボルトの弟子の石井宋謙のレイプに近い行為による。その娘の高子も同じようにして子供を生む。全て、シーボルトの行状からの因果のように思えてならない。西洋医学を、日本に紹介した人物には違いないが、あまりにも政治的野心と獣性がぎらぎらして、シーボルトに対する不快感が残った。


同じカテゴリー(書評)の記事画像
『ギリシャ人の物語』 塩野七生著
『孤独のすすめ』 五木寛之 中公新書 740円(税別)
『投資なんかおやめなさい』 荻原博子著 新潮新書 760円(税別)
『鴎外の坂』 森まゆみ 中公文庫 895円+税
『白秋愛唱歌集』藤田圭雄編 岩波文庫
『人間中野正剛』 緒方竹虎著 中央文庫
同じカテゴリー(書評)の記事
 アレキサンダーの征服領地の広さの秘密 (2018-01-04 17:23)
 アレキサンダー大王(塩野七生『ギリシア人の物語』より) (2018-01-02 15:09)
 『ギリシャ人の物語』 塩野七生著 (2017-12-23 17:02)
 下山の風景 (2017-12-16 11:30)
 『孤独のすすめ』 五木寛之 中公新書 740円(税別) (2017-12-13 12:03)
 『投資なんかおやめなさい』 荻原博子著 新潮新書 760円(税別) (2017-12-12 10:43)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
シーボルトの行状
    コメント(0)