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2015年08月04日

シーボルトの行状

シーボルトの行状

『ふぉん・しいほるとの娘』読了。文庫本ながら、上下で1300ページを超える。久しぶりの長編だった。歴史的事件も挿入され、幕末に向かう時代が良く描かれていて大変参考になった。シーボルトについての印象は良くない。シーボルト事件で国外追放になったが、彼の行動によって多くの日本人が罪に問われた。どちらかというと、日本人の甘さが目立つ。お人良しなどというものでは済まされない。そこへ行くとシーボルトの計画性、強引さ、したたかさが対照的である。
お滝との間に稲が生まれるが、獣性を感じる。それは、再来日したときに、60を過ぎているのに関わらず、お手伝いの間に性交渉を持つ。また、幕府に外交顧問になり、その報酬交渉も抜け目ない。通訳になった青年は、獄舎に繋がれることになる。
それに、シーボルトに産み落とされた稲の生涯も決して幸せとはいえない。高子という娘を産むが、望んで生まれたわけではない。史実かどうか、はっきりしないというが、シーボルトの弟子の石井宋謙のレイプに近い行為による。その娘の高子も同じようにして子供を生む。全て、シーボルトの行状からの因果のように思えてならない。西洋医学を、日本に紹介した人物には違いないが、あまりにも政治的野心と獣性がぎらぎらして、シーボルトに対する不快感が残った。


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Posted by okina-ogi at 17:30│Comments(0)書評
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