2015年08月20日
『林住期』 五木寛之著 幻冬舎文庫 535円
五木寛之は、『青春の門』の作者であるが、仏教関係の著書を書くようになった。水上勉と同様に仏教について考えさせられる作品が多い。数年前に、退職をしたこともあり、この本のタイトルに目が行った。古代インドの上流階級であるバラモンに生まれた考えである。人生を4つに分けた。学生期(がくしょうき)、家住期(かじゅうき)、林住期(りんじゅうき)、遊行期(ゆぎょうき)である。
それぞれの期の説明はいらないが、概略的に言えば、学びの時期、家族とともに社会に住む時期、自分と向き合い思索する時期、死への準備、魂の放浪。林住期は、退職後の暮らしに近いが、家住期と遊行期が重複している人が現代には多いのではないだろうか。還暦を過ぎたからといって、隠居して、旅に出ることもないのだが、なぜか古代インド人の考えに共感することがある。
自分の人生を振り返ってみると、還暦を過ぎた今日、四住期を全て過ごしてきたような気がするが、50代から林住期、遊行期を強く意識するようになった。松尾芭蕉のことが念頭にあったからである。家族には悪いが、家住期の意識が希薄で、学生期、林住期、遊行期が重複した人生になっている。少しおかしいが、これからは、家住期を意識して、死の準備をするのも良いと思っている。母屋の近くに別棟を立てようとしたのも、それが動機になっている。周りは、梅林である。環境的には、林住期である。
Posted by okina-ogi at 16:27│Comments(0)
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