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2015年09月08日

嵯峨野名月記』 辻邦夫著 中央文庫 802円(税込み)



京都歴史散策に浮上して来た歴史上の人物が本阿弥光悦である。紙屋川の上流、鷹ヶ峯の麓に本阿弥一族や、工芸家、そのパトロンともいうべき裕福な京の商人達の住む芸術村が江戸時代の初期にあったことは、意外と知られていない。そういう自分も、かすかな情報しか得ておらず、学生時代にごく近くに下宿していたことを思うと、この年になって、興味を持つことになったのも不思議である。
ことさらに、本阿弥光悦を詳しく調べてみる気持ちも起こらないので、手ごろな参考文献がないかと探していたところ出会ったのがこの本である。しかも作者が辻邦夫である。『西行花伝』、『安土往還記』、『背教者ユリアヌス』など読んでいる。小説の構成は、辻邦夫らしい。回想になっている。それも、俵屋宗達、角倉素案も加えている。その回想の中に、歴史的事件や京の人々の暮らしも描かれている。なによりも惹き付けるのは、三者の芸術観と人生観である。それはまた、辻邦夫の共感性でもある。
角倉素案は、角倉了以の長男であり、事業家でもあるが本阿弥光悦と同様、書家でもあった。加えて教養人でもあり、藤原惺窩との交友もあった。幕府の御用学者になった、林羅山の師でもある。伊藤仁斎の足跡も訪ねたいと思ったので、この本に出会ったのは、幸運というしかない。


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嵯峨野名月記』 辻邦夫著 中央文庫 802円(税込み)
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