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2015年10月03日

『田端文士村』 近藤富枝著 中公文庫 967円(税込み)



金沢市にある室生犀星記念館で、この本と同名の企画展があって、購入した。明治の後期から大正、戦前にかけて東京田端は、芸術村のようであった。京都の光悦村とは、少し趣が違う。陶芸家、画家がその個性を引き合うように同じ地区に住み、大正には、芥川龍之介や室生犀星が住むことにより、名だたる文人が居住するようになった。著者は、文部省に勤務し、その後NHKのアナウンサーとなり、文筆活動に入った異色の人。著者の育った家もこの地にあった。故郷ともいうべき、この地を書き綴ることになるのも必然のように思える。実に多くの資料と取材によって、貴重な文人の人間像を描いている。芥川龍之介には、神経質で少し陰湿なイメージがあったが、なかなかの社交家としての一面があるようだ。
第2章に小杉未醒の名前が出てくる。この本を読む前には未知の人物だったが、読んですっかり親近感が沸いた。それには理由がある。小杉未醒の長男が小杉一雄で、既に鬼籍に入られているが、20年以上前になるが、原稿を書いていただいたことがある。タイトルは「旅絵師」である。早稲田大学の教授を退官し、気ままに奈良にスケッチ旅行に行ったときの一コマが、実に屈託なく自然に、しかも情景豊かに描かれていた。父親は、著名な画家だったのである。小杉未醒は、東京大学の安田講堂に壁画を書いている。最近、安田講堂は改修されている。卒業生ではないので、気軽に見ることはできないと思うが、一度見てみたいものだ。


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『田端文士村』 近藤富枝著 中公文庫 967円(税込み)
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