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2015年11月10日

『良寛』 新井満著 世界文化社 1260円



新井満は、芥川賞受賞者である。電通に勤めながら作家として世に認められた人。近年には「千の風になって」を作詞、作曲して大ヒットしたのは、記憶に新しい。多才な人である。新井満は、新潟県の出身である。同郷の大先輩である良寛さんに関心が向くのも自然である。
良寛が残した、漢詩、短歌、俳句を新井満流に訳している。平易でわかりやすい内容になっている。良寛の生き方を意識したのは、意外と早い。世の中には、こんな風に生きられる人がいるんだという驚きだったが、そんな暮らしができるかと言えば到底無理だという結論になった。けれども、心の中には良寛の生き方は消えずに残っていた。五合庵も訪ね、良寛に関する書籍も数多く読んだ。
定年を過ぎて、身にしみて良寛の生き方が自分に迫ってきた感じがしている。新井満の良寛の世界の結論は、「こだわりをすてて日々を楽しむ」ということだという。これは、「言うは安く、行うは難し」である。良寛には宗教があった。加えて、歌や漢詩、俳句、書道といった芸術手段があった。新井満はこのことも指摘している。つまり、心の識の向上に日々努めていたのである。安穏とした生き方ではない。
心の識を高めるということはどういうことなのだろうか。良寛にとっての師とも言うべき人物は、道元だと思うが、自分にとっての人生の師は、宗教家ではないが、岡潔という数学者である。造化(岡潔は、大自然の善意といった)に対する帰依、平たく言えば、生かされていることに感謝する生き方。勇気付けられた本である。古本市で発見した本でもある。漢詩や短歌はだめだが、俳句は続けてきた。心の識を高める、良寛と共通した手段である。


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『良寛』 新井満著 世界文化社 1260円
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