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2015年12月19日

『幕末を呑み込んだ男 小説 五代友厚』 黒川十蔵著 1600円(税別)



この本も、鹿児島の集成館で購入した。小説である。五代は、薩摩藩では、西郷隆盛や大久保利通のような下級武士ではなかったが、薩摩藩独得の郷中制度の中で育っている。だから、藩士の間には、身分にとらわれない交友関係があったようだ。この小説では、小松帯刀が親友として描かれている。小松帯刀は島津久光の側近として倒幕の立役者になった人物である。病弱であったため、明治初年になくなっているが、人心を掌握できる才覚があった。
五代友厚は、父親が琉球の行政に関わっていた関係で、幼い時から海外への関心を持つことになる。長崎の海軍伝習所に学び、上海に行き、ヨーロッパまで行って見聞を広めている。英語も身に付け、西洋の政治、教育、文化も理解し、とりわけ経済に関心を向けた。
明治政府になって、その才能を買われ、官吏になるが実業界に転じる。役人としても有能だったが、そこに収まらない器だった。この点は、渋沢栄一に似ている。政商と言われ、鹿児島の人達からは、良く思われないところもあったが、今日、稲盛和夫のような経済人(鹿児島出身)が評価されるように、五代も見直されて良いような気がする。小説から思い描く五代は、幅広い知識、構想力、決断力、胆力、交渉力、多才な人脈、私欲のなさを備えた人物だという感じである。朝ドラに登場する五代は、スマート過ぎる感じがする。NHKだからと言うわけではないと思うが。
明治維新によって、都は東京に移った。大久保利通などは、大坂遷都を考えていたようだが、そうはならず大坂の町は衰退した。それを救ったのは、五代友厚だったと言える。大坂商人を商工会議所を創設してよく束ねた。この点、京都の衰退を救った山本覚馬にも通じるものがある。


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『幕末を呑み込んだ男 小説 五代友厚』 黒川十蔵著 1600円(税別)
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