☆☆☆荻原悦雄のフェイスブックはこちらをクリック。旅行記、書評を書き綴っています。☆☆☆

2016年11月26日

『守城の人』 村上兵衛著 光人社NF文庫



柴五郎。この人のことは、『北京籠城』、『ある明治人の記録』を読んで知っている。著者、村上兵衛は、陸軍幼年学校から軍人となり、作家になった人である。阿川弘之が海軍軍人を描いたように、陸軍軍人を描いている。この本の副題は、「明治人柴五郎大将の生涯」となっている。
この本は、友人から借りた推薦図書なのだが、文庫本ながらページ数は800に近い。柴五郎は、会津人である。戊辰戦争の悲劇は、少年柴五郎の心に深く刻まれた。五郎の兄弟は、多かったが、妹や姉は、祖母や母親とともに自害している。柴家は、会津藩の上士であったが、会津戦争に敗れ、貧困の中に生きなければならなかった。肥沃な盆地から下北半島の寒冷で痩せた土地に明治政府によって与えられ、斗南藩という牢獄のようなと表現しても良いような藩に移封されている。その逆境から、大将にまでなった柴五郎の精進は、並大抵のものではなかった。しかし、北京籠城に見られるようにその人格は、欧米の人々からも賞賛されるほど高潔なものであった。
改めて思うことは、戦争がもたらす悲惨さと、人間の醜い面である。ただ、その中にあって、人の支え合う美しさもある。柴五郎も、会津藩士同士の助けも受けている。大坂に陸軍少尉として赴任する途中で山本覚馬の家に泊るということもあった。柴五郎は、88歳で亡くなるのだが、昭和20年8月15日の敗戦から間もなく、切腹して死のうとした。それは果たされなかったのだが、その傷がもとでその年の12月に亡くなっている。


同じカテゴリー(書評)の記事画像
『ルポ税金地獄』 朝日新聞経済部 文春新書 780円(税別)
『風蘭』 岡潔著 角川ソフィア文庫 821円
「私の履歴書」
バルテノン神殿と彫刻群
「デロス同盟」と「ペロポネソス同盟」
『キリストの誕生』遠藤周作著 新潮文庫
同じカテゴリー(書評)の記事
 『ルポ税金地獄』 朝日新聞経済部 文春新書 780円(税別) (2017-04-26 12:35)
 『風蘭』 岡潔著 角川ソフィア文庫 821円 (2017-04-18 11:16)
 「私の履歴書」 (2017-03-21 16:58)
 バルテノン神殿と彫刻群 (2017-03-02 11:34)
 「デロス同盟」と「ペロポネソス同盟」 (2017-02-23 12:01)
 『キリストの誕生』遠藤周作著 新潮文庫 (2017-02-08 11:49)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

<?=$this->translate->_('削除')?>
『守城の人』 村上兵衛著 光人社NF文庫
    コメント(0)