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2017年01月12日

『芭蕉紀行』 嵐山光三郎著 新潮文庫



古典を読むのに限るが、ガイドブックのような本も悪くはない。著者の感性もあるが、芭蕉の旅の状況を良く調べている。著者は、若いときからの旅好きで、芭蕉への思い入れもある。旅は酔狂だけでできるものではないから、旅費の工面や、旅の企画は、芭蕉一人ではできなかったことがわかる。『奥の細道』などはまさにそうであって、同行した曾良の役割は大きい。
嵐山光三郎は、作家であるが雑誌の編集などを手がけた苦労人である。編集者は、本が売れるかどうかを考えなければならない。そうした経験が、俳聖芭蕉の違った面を浮き彫りにしてくれる。『奥の細道』も読者を意識して、ただの紀行文ではなく、虚構の部分も盛り込まれていると言う。
『西行と清盛』という彼の著作があるが、面白く読んだ記憶がある。蔵書にするほど繰り返して読む本ではないと思ったから、友人にプレゼントしてしまって手元にはない。その本の中で、西行がみちのくを旅したかどうかは疑問だと書いていたように思う。また、西行が出家したのは、政争に巻き込まれることを避けたという指摘である。この本にも、人間くさい芭蕉の一面を書いているが、それはそれで面白い。
弟子の杜国との関係は、そうなのという感じがするが、渥美半島には行ってみようかなと思わせてくれた。杜国の没した地であるだけでなく「椰子の実」の歌の誕生の地でもあるからだ。旅には、旅情が必要だ。


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『芭蕉紀行』 嵐山光三郎著 新潮文庫
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