2017年05月03日
『碁打秀行』 藤原秀行著 日本経済新聞社 1500円(税込み)

1993年発行である。日本経済新聞に連載された、私の履歴書をもとにしている。学生時代からの友人で静岡大学教授のS君が定年で退官するのを記念して、関東学院の教授であるSさんが将棋の大会を企画した。Sさんの友人に将棋のアマチュア強豪がいるというので対局することになったのである。会場は、Sさんの研究室。そこにあったのがこの本。Sさんは、大の将棋愛好家であるが、なぜか囲碁の棋士の本があった。遠方からわざわざ訪ねてくれたとこの本を頂戴した。
『野垂れ死に』という藤原秀行の本を読んでいるので、彼の生き様は知っている。あらためて読んで見ると、破天荒な人生である。生まれた時から驚きである。父親は69歳、母親23歳の時の子供である。父親は、江戸時代の生まれである。
飲む、打つ、買うという無頼な人生過ごしたが、彼を慕う人は多かった。傍からは不健全な生き方に見えるが、憎めないのである。囲碁に対しては真摯であり、囲碁を終生愛した。普通、50歳を過ぎれば、タイトルなどは獲れないものだが、秀行(シュウコウ)先生は、棋聖位6連覇の偉業を為した。アルコール中毒を克服しての勝利でもある。晩年は、ガンとも闘った。書の古典を開き、多才な面を見せた。著のタイトルも彼の文字になっている。奥様が書いた本もある。勝負師の妻は、どんなことを書いているのだろう。
Posted by okina-ogi at 16:44│Comments(0)
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