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2017年08月18日

映画「麦秋」鑑賞

映画「麦秋」鑑賞

8月17日、高崎城址のお壕に近い、高崎電気館で、小津安二郎監督の作品「麦秋」を観た。高崎電気館は、映画館としては、廃業して久しいが、建物が高崎市に寄付されたのを契機に、市が映画会を企画したのである。作品といい、上映場所と言い、まるで青年時代に戻った感じがした。しかし、高崎電気館のあたりは、すっかり人出が少なくなっている。近くの中華料理の店で夕食を済ませ高崎電気館へ。
入場者も10名そこそこ。これでは、経営として成り立たないが、問題は映画の内容である。松竹映画だったのである。松竹の富士山も懐かしい。配役が紹介される。皆鬼籍の人である。主演の原節子も数年前に亡くなっている。
舞台は、北鎌倉の原節子(紀子)の兄夫婦の家である。父親夫婦、紀子も同居している。そこに、奈良から紀子の父親の兄が訪ねて来ている。紀子の甥2人は、小学生である。毎日の暮らしの人間模様が淡々と描かれている。戦後間もない頃の鎌倉や、江ノ島が映し出されている。そうした自然描写と、バックに流れるメロディーが心に響く。
紀子の結婚の問題がテーマになっているが、親子兄弟が皆心配しているのは今以上だが、本人の意思が一番決めてなのは、今も昔も変わらない。紀子は、子連れの戦争で無くなった兄の友達の勤務医に嫁ぐことを決める。勤め先の上司から紹介された縁談は、断った。
友達の淡島千景(アヤ)がからかう。夫になる兄の友達は秋田に赴任することになっている。都会育ちの紀子が秋田弁を話す様が信じられないというのだが、二人の会話が見事な秋田弁になっているのである。少ない観客から笑い声が漏れた。
映画「麦秋」のタイトルの象徴的場面は最後にあった。奈良の旧家の前に一面の麦畑が広がっている。カラーではないので麦秋の色は、想像しなければならない。それよりも、旧家のバックの山は、すぐ耳成山とわかった。すばらしい日本の風景である。とつとつと語られる老夫婦の嫁送りの会話も良い。しかり、名作である。


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Posted by okina-ogi at 10:50│Comments(0)日常・雑感
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