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2019年02月08日

『落語教師』 蛭川幸茂著

 大河ドラマ「いだてん」は毎週欠かさず見ている。BSで6時から放映しているので2回見ることもある。人物が躍動している。ビートたけしも味を出している。このドラマの世界から旧制高校を連想した。長野県には、松本高校があった。今も、県(あがた)の森公園に建物が保存されていて、パネルなどで当時の様子がわかるようになっている。コーヒーも飲める。7年前位に息子の運転で見学したことがあった。そこに、置かれていた本が、この本である。値段がついていないので、非売品だと思ったが、1000円くらいで購入できた。「落語教師」というタイトルに関心をもった。
読んでみると、実に面白い。最近書棚からとりだして「いだてん」と同じように2回読んだ。自伝というのは、読者を意識するもので、評伝のほうがまだましかと思うのだが、赤裸々な内容に引き込まれる。自慢話もあるが失敗談もある。普通自慢話は面白くないのだが、この人の真心が伝わってくるのである。蛭川さんは、東京帝大の数学科を卒業したら、船頭にでもなろうと本気で考えていた。神経衰弱と家が貧しいことも無関係でなかった。松本高校への就職は、主任教授の紹介だった。北杜夫の推薦文がある。
 「これほど天衣無縫な人生の記録も少ないであろう。蛭さんは旧制松本高校の名物教授であった。旧制高校の消滅と共に、村の小学校のせんせいとなり、その教え子が大学に入るまで見守り世話する道程は、今の世の形ばかりの教育とはまったく異なる。ベラボーに面白く、破天荒なこの記録は、世の教師や学生やその親たちに、目を洗う気持を起こさせるに違いない。常に青春を呼び寄せる、ひたむきで野性的な純粋な魂がじかに伝わってくるからだ」
北杜夫も辻邦生も蛭さんの教え子である


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Posted by okina-ogi at 16:53│Comments(0)書評
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