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2023年12月15日

『松尾芭蕉俳句集』より(ほととぎす)

                 ほととぎす消行方や島一つ


ほととぎすが飛んでいく方向に島が一つある。
その島で羽根を休めるのかもしれない。
やがて見えないところに飛んで行ってしまう。
  

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2023年12月13日

『松尾芭蕉俳句集』より(春雨)

                  春雨のこしたにつたふ清水哉


春雨が降り続いているが、木下にのぞく清水にも同じように春雨がかかっている。
新緑の中を流れる清水である。
清水は濁っていない。
  

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2023年12月11日

『松尾芭蕉俳句集』より(櫻)

                  さまざまの事思い出す櫻かな


櫻の花は満開である。
花の間から青空も覗かせている。
来し方のさまざまな思い出がよみがえってくる。
懐かしさにつつまれて。
  

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2023年12月09日

『松尾芭蕉俳句集』より(落馬)

                 歩行(かち)ならば杖つき坂を落馬哉

流石の健脚の芭蕉も馬に乗って坂道を登った。
前書きに
「馬かりて杖突坂上るほど荷鞍うちかえりて馬より落ちる」
と説明している。
珍しく無季の句である。
  

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2023年12月07日

『松尾芭蕉俳句集』より(梅つばき)

                  梅つばき早咲き褒めむ保美の里

芭蕉は、渥美半島の保美という地名に興味をもった。
そこには梅と椿が咲いている。
梅はしだれ梅で早咲きである。

  

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2023年12月06日

『松尾芭蕉俳句集』より(鷹)

                  夢よりも現の鷹ぞ頼もしき


会えないものと思っていた弟子の杜国に逢え、一緒に旅できることを頼もしく思った。
杜国は、先物買いで謹慎させられていた。
杜国を鷹に例えている。
鷹は、冬の季語である。
  

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2023年12月04日

『松尾芭蕉俳句集』より(雪の雲)

                 京まではまた半空や雲の雪

鳴海の沢に宿泊することにした。
芭蕉は空を見上げた。
雪のちらつく空を見て、京までは遠いなと溜息をつく。
当時の旅は徒歩だから、現代人には想像できない。

                星崎の闇を見よとや啼く千鳥
と宿で句にした。
  

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2023年12月02日

『松尾芭蕉俳句集』より(秋の風)

死にもせず旅路の果よ秋の風

前書きに「野ざらしを心におもいて旅立ちければ」と書いて悲壮な旅立ちになった。
旅の途中で死んでも仕方ないと思っての旅だったが、生きて目的地に着けた。
そこには秋風が吹いていた。
  

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2023年11月10日

『松尾芭蕉俳句集』より(秋の風)

                  義朝の心に似たり秋の風


源義朝は、頼朝、義経の父親であるが、戦に敗れ逃亡する時、知多半島で非業の死を遂げた。
芭蕉は、そことを想い、秋風の中にその無念の声を聞いたのである。
  

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2023年11月09日

『松尾芭蕉俳句集』より(霧しぐれ)

                 霧しぐれ富士をみぬ日ぞ面白き


雄大にして美しい富士の姿を見られることは嬉しいが、霧時雨で富士を見られないのも亦良い。
霧時雨は冬の季語である。
見えない富士を、脳裏に浮かべてみる。
  

Posted by okina-ogi at 08:40Comments(0)書評

2023年11月08日

『松尾芭蕉俳句集』より(涼し)

                  松風の落葉か水の音涼し

涼風が吹いている。
その音は、松葉が散る音か水の音か区別がつかない。
いずれにしても清涼感がある。
  

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2023年11月07日

『松尾芭蕉俳句集』より(涼め)

                  忘れずば佐夜の中山にて涼め

佐夜の中山は歌人にとっては大事な場所である。
歌人、西行も歌を詠んでいる。
旅の途中、疲れたら佐夜の中山で涼むようにしよう。
  

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2023年11月06日

『松尾芭蕉俳句集』より(八重ざくら)

                 七重八重七堂伽藍八重ざくら


七重八重は奈良の枕詞になっている。
七と八の組み合わせが見事。
八重ざくらを八重桜とすれば、全て漢字になる珍しい句になった。
芭蕉はそれを意図的に避けたのだろうか。
  

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2023年11月05日

『松尾芭蕉俳句集』より(白灰)

                 白灰やかの浦島が老の箱

燃え切った炭の灰を見て、浦島太郎の玉手箱を連想した。
玉手箱を開けると、白い煙が立ち、いっぺんに老人になるという昔話である。
太宰治は、『浦島太郎』の物語を短編小説に書き、玉手箱を開けて老人になることは、仏の慈悲だと言っている。
  

Posted by okina-ogi at 09:03Comments(0)書評

2023年11月04日

『松尾芭蕉俳句集』より(明の春)

                  山里は又静かなる明の春

明の春は、新年の季語。
山里に静かな新年を迎えた。
家々も少なく、いつもながらの静けさである。
  

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2023年11月03日

『松尾芭蕉俳句集』より(梅)

                  待ちかねて隣の梅を折に行


梅の花がなかなか咲かない。
隣の梅の枝を頂戴して活けてみる。
何としても梅の花を早く見たいという衝動に勝てない。
  

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2023年11月02日

閑話休題⑧

 銀行王  安田善次郎


戦前、財閥があり、三井、三菱、住友ともに日本の経済界に重きをなした。
しかも、その資産はトップであった。
富山の下級武士であった、安田善次郎が一代で築いた。
善次郎が生まれたのは1813年で、幕末には成人になっていた。
江戸に出て、事業を起こし、財産を増やしていったが、普通の商人と違い哲学があった。
渋沢栄一が論語を重んじたように、善次郎は「陰徳を積む」ことをモットーにした。
金持ちの態度は表に出さず、公共の事業にも資金を提供した。
長寿であったが、何の関係もない男に暗殺された。
その男には善次郎が守銭奴のような商人に見えたのだろう。
東京大学のキャンパスに安田講堂がある。
遺族が、寄付して建築された建物である。
  

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2023年11月01日

『松尾芭蕉俳句集』より(冬がれ)

                  冬がれや世は一色に風の音

冬枯れた野原であろうか。
家々もあるにはあるが、あたりの風景には冬枯れ一色に見える。
そこに冷たい風が吹いている。
  

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2023年10月31日

『松尾芭蕉俳句集』より(春の雪)

                  蕗の芽を降りかくしけり春の雪


蕗の薹が地上に顔を出した。
そこに春の雪が積もってその姿を隠すが、春の雪なのですぐ解けてまた顔を出す。
蕗の薹も春を告げる植物の一つである。
  

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2023年10月29日

『松尾芭蕉俳句集』より(雪の梅)

                 深川の松はなくらむ雪の梅


深川の芭蕉庵は、火事にみまわれ住まいを亡くした。
家ができるまでは仮住まいをすることになった。
焼け跡に戻ると、松はなく梅が残った。
そこに雪が積もっている。
  

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