☆☆☆荻原悦雄のフェイスブックはこちらをクリック。旅行記、書評を書き綴っています。☆☆☆

2012年10月14日

種田山頭火

心に浮かぶ歌・句・そして詩39
防府は、山頭火の生まれた場所であることは意外と知られていないかもしれない。芭蕉のように旅の俳人としてのイメージが強いからである。それもどちらかと言えば、放浪のような印象がある。
 歩かない日はさみしい
   飲まない日はさみしい
     つくらない日はさみしい
孤独と酒のなかに句を紡いだ人が山頭火であるが、店主の話と小冊子に書かれた彼の年譜を見て、納得できるものがあった。大地主から事業の失敗による破産。幼いときの母親の自殺。男の子をひとり残しての離婚。定職も長くもてない。人生の失敗者といわれても仕方がない。それでも俳句は書き続けた。俳句をつくらない日はさみしかったのである。俳句といってもいわゆる五七五の定形でなく自由律というもので、荻原井泉水や河東碧梧桐などが普及させようとした。
 大正十五年から亡くなる昭和十五年までは、庵を結んだこともあったが、歩いて旅をし、俳句を作り続け、その作は一万首を超える。有名なのは
 分け入っても分け入っても青い山
で、宮崎県の高千穂に近い場所で生まれている。ふるさとの句も多いが屈折した心境のものが多い
 
ふるさとは遠くして木の芽
 雨ふるふるさとははだしであるく
 うまれた家はあとかたもないほうたる

旅先で
 
日ざかりのお地蔵さまの顔がにこにこ
 てふてふひらひらいらかをこえた

あどけない感じだが、芭蕉の野ざらし紀行のように旅に死す決意を感じさせる
 
おちついて死ねそうな草萌ゆる

母の死は、かれの人生を大きく支配したであろう。
 
母ようどんそなえてわたしもいただきます

山頭火の句も他者に響くが、彼に他者の愛は響いていたのであろうか。


同じカテゴリー(日常・雑感)の記事画像
俳人村上鬼城
『高浜虚子句集』より(浮葉)
俳句自選(金木犀)
俳句自選(秋明菊)
「近代の秀句」水原秋櫻子より(鮠)
俳句自選(百日紅)
同じカテゴリー(日常・雑感)の記事
 閑話休題⑥ (2023-10-07 19:10)
 閑話休題⑤ (2023-10-06 10:22)
 閑話休題④ (2023-10-05 11:46)
 閑話休題③ (2023-10-04 11:38)
 閑話休題② (2023-10-03 18:25)
 閑話休題① (2023-10-02 16:35)

Posted by okina-ogi at 09:05│Comments(0)日常・雑感
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
種田山頭火
    コメント(0)