2015年02月26日
君側の奸

今日は2月26日、『2・26事件』の起こった日でもある。昭和12年のこの日の朝は、東京に珍しく雪が降り積もった。日本を震撼させた軍事クーデターで、政府の要人が狙われ、殺害されたり負傷したりした。前日のNHKの番組『ヒストリア』で、鈴木貫太郎をとりあげていた。この事件で鈴木貫太郎は重傷を負い、奇跡的に助かった。その時の状況を語った鈴木たか夫人の肉声テープを聞いた。昭和40年の頃のもので、極めて鮮明な録音として残っている。
感想は、年月は経っているが武人の妻は、気丈だなということである。半藤一利の『聖断』などに描かれている鈴木貫太郎の青年将校に襲撃された場面は、たか夫人の言葉によるのだろうが、肉声で聴くとその場面の情景さえ浮かびそうである。
事件当時、鈴木貫太郎は侍従長として昭和天皇に仕えていた。たか夫人も昭和天皇養育係になったことがある。夫婦して、信頼を寄せられていたのである。憲法に忠実だった天皇も、この時は明確な意思を示した。青年将校の行動は、反乱となって鎮圧されることになった。私情を持たないように帝王学を身に付けた天皇にも許容できない行動に写ったと言える。
鈴木貫太郎は、晩年は、千葉県の関宿で暮らした。そこに記念館があり、訪ねたことがある。77歳と言う高齢で首相になり、日本を終戦に導いた功績は大きい。ポツダム宣言を受諾する御前会議の絵が飾られていた。鈴木貫太郎と言う人は、青年将校が考えるように、「君側の奸」ではない。狡猾で保身を図るような人物とはかけ離れている。番組では、『世界平和』という言葉を臨終の前にくり返し呟いたと紹介していた。蛇足だが、敵国であったアメリカのルーズベルト大統領が首相在任中に亡くなった時、弔電を打ったことは、有名である。明治の武人という感じがする。
Posted by okina-ogi at 15:51│Comments(0)
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