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2020年03月12日

「漱石句集」より(木瓜)

             木瓜咲くや漱石拙を守るべし


この句については、小説『草枕』の独白である。
「世間には拙を守るという人がある。
この人が来世に生まれ変わるときっと木瓜になる。
余も木瓜になりたい」。
  

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2020年03月11日

「漱石句集」より(冬籠)

冬籠弟は無口にて候

この句も候で終わっている。
自分の肉親を他者に紹介する意味で使われている。
漱石も弟が話し相手にならず閉口している。
  

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2020年03月10日

『「日本」誕生』 熊倉浩靖著 現代書館 2700円+税



 昨日、『「日本」誕生』という本を著者から贈られた。
著者熊倉浩靖君は、高校の同級生である。古代史に詳しく、これまでに多くの著書がある。
最近は「上野三碑」を世界記憶遺産にする運動に尽力した活動家でもある。
早速、本に目をとうしたが、古い文書の表記に慣れるまで大変だった。
ただし、この表記の中に重要な視点がある。
 日本という国家がいつ独立国家として内外から認められたのだろうか。
この本の表題のテーマである。
以外に思ったのだが、大化の改新の後らしい。
読書は、途中だが、筆者の鋭い切り口で、専門家の評価に繋がってほしい。
私も歴史好きで、明日香や奈良の遺跡を徘徊してきた。
奈良を訪ねると言い知れない懐かしさががある。
それは知らないからこそのロマンがあるからだろう。
              石舞台あたり昭和の緑濃き
三〇年以上前の句である。
  

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2020年03月10日

「漱石句集」より(蜂)

            寒山か捨徳か蜂に刺されしは


寒山、捨徳は、唐代の僧であり、二人を画材にした絵は多い。
これも漢文の素養から生まれた軽妙洒脱な句になっている。
蜂に刺された人のことを考えると同情を禁じ得ない。
  

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2020年03月09日

「漱石句集」より(しぐれ)

               しぐれ候ほどに宿につきて候

候文で俳句を作るあたり漱石の個性を感じる。
有名な『吾輩は猫である』の調子も感じる。
お金はないが、気高い精神を持った高等遊民の匂いがする句であるとも言える。
  

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2020年03月08日

「漱石句集」より(蜜柑)

           累々と徳孤ならずの蜜柑哉

漱石は、英文学者でもあるが、漢文に素養がある。
徳孤ならずは論語からの引用である。
「徳は孤ならず必ず隣有り」
この言葉を知ると知らないでは、この俳句の理解が違ってくる。
  

Posted by okina-ogi at 17:28Comments(0)書評

2020年03月07日

「漱石句集」より(秋の雲)

           空に一片秋の雲行く見る一人


漱石の句は、空を詠んだ句が多いような気がする。
特に秋の空のスケッチが多い。
空を見上げると、自分が本当に小さな存在だという気がしてくる。

           菫程な小さな人に生まれたし
の句につながっているような気がする。
  

Posted by okina-ogi at 23:59Comments(0)書評

2020年03月07日

「漱石句集」より(凩)

           凩や海に夕日を吹き落す


漱石以前、松尾芭蕉の時代に池西言水という俳人がいて
凩や果てはありけり海の音

という句を作った。
芥川龍之介には
木がらしや目刺しに残る海の色

の作品がある。
高浜虚子門下の山口誓子は
海に出て木枯し帰るところなし

と詠んだ。
  

Posted by okina-ogi at 10:47Comments(0)書評

2020年03月06日

「漱石句集」より(名月)

名月や丸きは僧の影法師

明るい月が薄い光を地上に注いでいる。
人の影をつくるのに十分な明るさである。
丸い笠を被っているのは僧侶である。
ひときわ目立つ。
  

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2020年03月05日

「漱石句集」より(蛍)

            かたまるや散るや蛍の川の上


蛍は、小川などがコンクリートで固められたり、田の農薬の散布などによってすっかり見られなくなった。
漱石の時代は蛍の鑑賞や蛍狩りは、夏の風物詩だった。
蛍の飛ぶ様を見事に表現している。
  

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2020年03月04日

「漱石句集」より(菫草)

            大和路や紀の道へ続く菫草


芭蕉のように道野辺に菫草を見つけた。
奈良の道は、紀州の道に続く。
そこでも菫が咲いているだろう。
  

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2020年03月03日

「漱石句集」より(春)

            奈良の春十二神将剥げ尽くせり


奈良の新薬師寺の十二神将であろうか。
長い年月装飾をしないので剥げ尽くしていると感じたが、作品としての価値は認めている。
色鮮やかに装飾されているのは想像すれば良い。
  

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2020年03月02日

「漱石句集」より(日永)

           日は永し三十三間堂長し


漱石のユーモア感覚なのであろう。
人によればふざけているように感じにとる人もいるだろう。
しかし、三十三間堂を見ている人は、永き日を添えてみたい気持ちもわかる。

  

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2020年03月01日

「漱石句集」より(野分)

             この夕べ野分に向かいてわかりけり

別れる人は、子規である。
松山から東京に帰るにあたって句を作った。
野分というのは大袈裟のようだが、この日は荒れ模様の天気だった。
  

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