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2022年02月23日

『蕪村俳句集』より(冬の梅)

                  冬の梅きのうやちりぬ石の上


冬の梅は、なかなか莟をひらかない。
「真理は寒梅の如し敢えて風雪を侵して開く」
という言葉もある。
ちいさな花びら、花期は長く桜と対照的である。
昨夜の風雨で、数枚石の上に散っている。
  

Posted by okina-ogi at 08:54Comments(0)書評

2022年02月22日

『蕪村俳句集』より(落葉)

                  菊は黄に雨疎かに落葉かな


菊と落葉の季重ねになっているが、異論もあるだろうが、焦点は落葉にある。
菊が咲き、落葉があって雨がまだらに降っている。
色の組み合わせが美しい。
  

Posted by okina-ogi at 13:34Comments(0)書評

2022年02月21日

『蕪村俳句集』より(千鳥)

                   打ちまする浪や千鳥の横歩き


酔った人の歩きを千鳥足という。
まことにあぶなかしい歩き方である。
千鳥御本尊は波を巧みに避けて歩くができる。
ユーモラスにも見える。
  

Posted by okina-ogi at 19:17Comments(0)書評

2022年02月20日

『蕪村俳句集』より(茶の花)

                 茶の花や白にも黄にもおぼつかな


茶の花をみると、白であるか黄であるか定まらない。
白とも言い切れず黄とも言い切れない。
近くによって見る。茶の花は冬の季語である。  
  

Posted by okina-ogi at 09:15Comments(0)書評

2022年02月10日

『蕪村俳句集』より(むかご)

                 うれしさの箕のにあまりたるむかご哉

むかごは山芋の種子である。
山芋の蔓になっている。
そして食することができる。
箕にいっぱいとれたうれしさを表現するばかりでなく「身に余る」という気持ちをかけている。
  

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2022年02月09日

『蕪村俳句集』より(落穂ひろい)

                 落穂拾い日のあたる方へあゆみ行く


ミレーの「落穂ひろい」の絵画が目に浮かぶ。
落穂は、地主が小作人に敢えて残す。
それを集めると馬鹿にならない穂の数になる。
夕方暮れてゆく中、明るい方へと落ち穂を探す。
句の中に動きが感じられるのが蕪村の特徴である。
  

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2022年02月07日

『蕪村俳句集』より(秋)

                 笛の音に波もより来る須磨の秋


須磨で笛の音と言えば平敦盛の青葉の笛である。
秋の波が打ちよてくる。
憐れさが一段とます。
遠い昔の悲話である。
「一の谷の戦破れ討たれし平家の公達あわれ」
  

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2022年02月06日

『蕪村俳句集』より(紅葉)

                  ひつぢ田に紅葉ちりかかる夕日かな


画家蕪村の真骨頂の風景である。
稲を刈り取られた株からはひこばえがでている。
そこに紅葉が落ち夕日が照らしている。
  

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2022年02月05日

『蕪村俳句集』より(砧)

遠近(をちこち)をちこちとうつ砧かな


今は砧をうつ風景は日常の中でほとんど見られない。
アイロンかけのようなものか。
夜いろいろな家から聞こえてくる。
その音を「ちこち}と表現した。
  

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2022年02月04日

『蕪村俳句集』より(野分)

                 鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分かな

野分の中、武士が馬を走らせている。
何事やらと思って見る。
鳥羽殿とは京都の南郊にあって、白川、鳥羽両院の離宮になっていた。
  

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2022年02月03日

『蕪村俳句集』より(山雀)

                 山雀や榧の老木に寝にもどる


山雀は、背、翼は灰色。
腹は褐色で全国に分布している。
留鳥である。
巣はコゲラが開けた穴などにする。
この場合、巣にしたのは、榧の老木である。
  

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2022年02月02日

『蕪村俳句集』より(そばの花)

                  黒谷の際はしろしそばの花


随分と手のこんだ句である。
前書きに「題白川」とある。
そばの花は白い。
それでも黒谷という地区に咲いている。
その隣が、白川という場所だという。
  

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2022年02月01日

『蕪村俳句集』より(秋)

                  木曽路行ていざとしよらん秋ひとり


「故人に別る」という前書きがある。
親しくしていた友人が亡くなって墓前を訪ねたのかも知れない。
木曽路の秋は深まり、年老いた自覚を持ちながら一人歩いてゆく。
  

Posted by okina-ogi at 09:31Comments(0)書評