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2020年05月31日

「漱石句集」より(菫)

             菫ほどな小さきき人に生まれたし


漱石は高等教育を受け、ヨーロッパに留学したエリートである。
しかも小説を書いて文豪になった人でもある。
三十歳の時の心境である。
  

Posted by okina-ogi at 16:18Comments(0)書評

2020年05月30日

「漱石句集」より(糸瓜)

           長ければ何の糸瓜とさがりけり


子規は、人生の最後、糸瓜の句を詠んだが、漱石先生も糸瓜の句がある。
「お前さん、やたらと長いけど、どこの糸瓜だい」
江戸っ子の感じがある。
  

Posted by okina-ogi at 11:31Comments(0)書評

2020年05月29日

「漱石句集」より(朝貌)

            朝貌の黄なるが咲くと申し来ぬ

朝顔といえば紫の花を浮かべる。
それが黄色の花をつけたというのだから驚きである。
見に行かねばなるまい。
  

Posted by okina-ogi at 09:00Comments(0)書評

2020年05月28日

「漱石句集」より(棕櫚の花)

            異人住む赤い煉瓦や棕櫚の花


赤い煉瓦だけで外国人が住んでいる家だと思う。
日本民家ではあまり植えない棕櫚が植わっていて猶更その感を強くした。
花咲く季節でもあった。
黄色い粒のような花である。
  

Posted by okina-ogi at 09:03Comments(0)書評

2020年05月27日

「漱石句集」より(永き日)

                  永き日や欠伸うつして別れゆく

漱石の代表的な句である。
あえて説明はしない。
  

Posted by okina-ogi at 10:45Comments(0)書評

2020年05月26日

「漱石句集」より(雛)

            端然と恋をしている雛かな


お内裏様は上の段に飾られるが、まるで端然として恋をしていると見えるというのである。
こうした感覚も漱石らしい。
  

Posted by okina-ogi at 09:32Comments(0)書評

2020年05月25日

「漱石句集」より(山焼き)

            宵宵の窓ほのあかし山焼く火


奈良の若草山の山焼きであろうか。
旅館に泊まり、山のほうを見ると残り火があってほのかに赤い。
昼の山焼きとまた違う趣がある。
  

Posted by okina-ogi at 08:17Comments(0)書評

2020年05月24日

「漱石句集」より」(春の雲)

              雨晴れて南山春の雲を吐く


南山は吉野山や高野山の別称である。
この辺りも、漢文の素養がないとわからない。
その南山から雲が沸き上がってくる。
  

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2020年05月23日

「漱石句集」より(菜畑)

           海見えて行けど行けど菜畑哉

場所はどこと特定しないが、淡路島を連想した。
古くから菜種油を生産していた。
高田屋嘉平を主人公にした「菜の花の沖」というドラマもあった。
  

Posted by okina-ogi at 03:34Comments(0)書評

2020年05月22日

「漱石句集」より(河豚)

             物言わで腹ふくれたる河豚(ふくと)かな


漱石のユーモラスな一面。
これから料理して食べようかとする河豚かわ別として、腹をふくらましている。
物は言わない。
  

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2020年05月21日

「漱石句集」より(山茶花)

          つくばいに散る山茶花の氷りけり


日本庭園にはつくばいがつきもである。
山茶花もあって、散った花がつくばいの中で氷りついている。
  

Posted by okina-ogi at 08:44Comments(0)書評

2020年05月20日

「漱石句集」より(梅)

梅咲きて奈良の朝こそ恋しけれ


古くは花といえば、桜ではなく梅だった。
奈良の梅にはそんな意味もあるのだろう。
奈良朝の時代である。
  

Posted by okina-ogi at 08:44Comments(0)書評

2020年05月19日

「漱石句集」より(雪)

一つ家のひそかに雪に埋もれけり

雪国の一軒家か。
家の所在はわからないが、雪に埋もれるほどの積雪である。
あたりに音はしない。
  

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2020年05月18日

「漱石句集」より(凩)

                凩に早鐘つくや増上寺


寺の鐘は時刻を告げるだけではない。
早鐘は、明らかに火事を知らせるものである。
増上寺と言い切っているところが興味深い。
  

Posted by okina-ogi at 09:46Comments(0)書評

2020年05月17日

「漱石句集」より(秋風)

日の入りや秋風遠く鳴ってくる


夕日が沈み、やおら秋風が吹きつけてくる。
遠くのほうでうなるような音がする。
  

Posted by okina-ogi at 08:40Comments(0)書評

2020年05月16日

「漱石句集」より(火鉢)

親展の状燃え上がる火鉢かな

親展と書かれた手紙は漱石に宛てられたものである。
一読し内容を確かめ火鉢に入れて燃やしてしまった。
家人には、見せる内容ではなかったこともある。
  

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2020年05月15日

「漱石句集」より(雪)

            雪の日や火燵をすべる土佐日記

外は雪である。
思いついたように紀貫之の『土佐日記』を読み始めた。
火燵の温かさでうとうとし、火燵の台も傾き、手から離れた『土佐日記』が滑り出した。
  

Posted by okina-ogi at 00:26Comments(0)書評

2020年05月14日

「漱石句集」より(枯蓮)

             枯蓮を被むつて浮きし小鴨かな


冬の蓮池は、枯れた蓮の葉が多い。
その間を小鴨が泳いでいる。
時たま潜り枯蓮を被って出てくることもある。
  

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2020年05月13日

「漱石句集」より(小春)

             武蔵下総山なき国の小春かな

武蔵(埼玉)、下総(千葉)あたりは、聳えるというほどの山がない。
どちらかというと丘である。
そんな国の小春も良い。
  

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2020年05月12日

「漱石句集」より(卯の花)

 
細き手の卯の花ごしや豆腐売り

豆腐を売っているのは、女人である。
卯の花の先に見えるのも絵になっている。
花の香りも良い。
「豆腐一丁くれ」と声かけたくなる。
  

Posted by okina-ogi at 00:19Comments(0)書評