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2021年07月31日

『芥川竜之介俳句』より(秋風)

                  秋風や人なき道の草の丈

作者は芭蕉であるといってもおかしくない句である。
芒など背の高い草の道、あるいは人に踏まれず伸びた草の道を歩いていく。
前にも後ろにも人はいない。
秋風が吹いて草を揺らしている。
  

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2021年07月30日

『芥川竜之介俳句』より(蓮の花)

                 夕立の来べき空なり蓮の花


空を見ると夕立が来てもおかしくない空模様である。
美しく咲いた蓮の花をゆっくり見たいのだが、帰りを急がなければならない。
近くに雨宿りできる場所があればよいのだが。
  

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2021年07月29日

『芥川竜之介俳句』より(杉菜)

                 ゆららかや杉菜の中に日は落つれ


「土筆何の子杉菜の子という」童謡歌詞がある。
杉菜は、晩春初夏の頃青々として地を覆う。
畑などにはびこると耕作には厄介な存在である。
そんなことを知ってか知らずか、作者は、杉菜にゆららかに日がさしているのを見つめている。
  

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2021年07月28日

『芥川竜之介俳句』より(春隣)

                 山国の蜆とどきぬ春隣


吃水湖で採れる宍道湖の蜆が有名だが、山国の蜆と言っている。
春もそこまで来ているがまだ寒い。
蜆の味噌汁で体を温めることができる。
感謝である。
  

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2021年07月27日

『芥川竜之介俳句』より(雪)

                  夕暮やなびき合ひたる雪の竹


竹は雪に弱い。
積もった大雪の重さに耐えかねて幹が割れる。
夕暮れになって、雪も多くなって割れる竹の多くなり、竹藪のあちこちから竹の割れる音がする。
なびき合うという感じは適切。
雪解け後の惨状は、目をしかめるものがある。
  

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2021年07月26日

『芥川竜之介俳句』より(白南風)

                 白南風の夕波高こうなりにけり

白南風(しろばえ)は夏の季語である。
梅雨空が薄明るい空に吹く風で、黒南風と区別している。
風の吹くのが強くなり夕波も音を立てて岸に寄せるようになった。
  

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2021年07月25日

『芥川竜之介俳句』より(畑打)

沈む日や畑打ちやめば海の音

海岸に近い畑を耕している。
そろそろ日も陰り、耕していた農夫もいなくなると、今まで聞こえなかった海の波の寄せる音がきこえてくる。
  

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2021年07月24日

『芥川竜之介俳句』より(桃の花)

                 桃咲くや水に青きは鴨ノ首


ふちに桃の木が咲いた池には鴨が泳いでいる。
その首が青いのに気づいた。
春の長閑な風景である。
  

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2021年07月21日

『芥川竜之介俳句』より(つぼ菫)

                   吹かるるや塚の上なるつぼ菫


日本の菫の種類は多いが、タチツボスミレは一般的に、ごく身近で見られる。
その菫が塚の上に咲いていて、春風に揺られて咲いている。
  

Posted by okina-ogi at 20:13Comments(0)書評

2021年07月20日

『芥川竜之介俳句』より(土筆)

                  古草にうす日たゆとう土筆かな


春になったが、冬枯れの草が残っている。
その中から土筆が伸びている。
そして、薄日をうけて春風に揺られている。
  

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2021年07月13日

『芥川竜之介俳句』より(藤)

藤咲くや日もうらうらと奈良の町


春の良い日で大気が肌に優しい。
歴史のある奈良の町を歩いていると藤が咲いている。
春真っ盛りである。
  

Posted by okina-ogi at 14:10Comments(0)書評

2021年07月12日

『芥川竜之介俳句』より(月)

                  月ほそる杉のあらしに入りにけり


月と言っても細い月である。
風が強く、杉が揺られてその陰になってしまう。
うす暗い月夜である。
  

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2021年07月11日

『芥川竜之介俳句』より(葦)

                 よく見ればゐるかや葦の雀かな


葦のある方に目を向けると雀がいる。
鳴き声だけではわからないのだが、葦の色、雀の色が区別できなかったのである
。  

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2021年07月10日

『芥川竜之介俳句』より(朝寒)

                 朝寒の葉を垂らしたる柏かな


柏の木を植える人が少なくなった。
こちらが知らぬのか柏を見かけない。
5月は柏餅を食べる。
餅を包むのに使われている。
その柏の葉が朝の寒さで葉を垂らしている。
  

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2021年07月09日

『芥川竜之介俳句』より(青嵐)

                 青嵐鷺吹き落す水田かな


強い5月の風が吹いている。
田に稲の苗が植えられて間もない。
鷺は、吹き落とされるように水田に下りて飛び立たない。
  

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2021年07月08日

『芥川竜之介俳句』より(陽炎)

                  陽炎にもみ消されたる蝶々かな


春の蝶は長閑に飛んでいるが、遠くから眺めていると陽炎にその姿を打ち消されるようだ。
「もみ消される」という表現を使っている。
蝶と言えば春が良い。
  

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2021年07月07日

『芥川竜之介俳句』より(夏山)

                 夏山や峯も空なる夕明かり


夏の山も暮れてくると夕明かりで山の端がわずかに見える。
そして暗闇の中に消えていく。
山と空が区別できない。

拙句に
                  名山を虚空に戻す冬の靄
  

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2021年07月06日

『芥川竜之介俳句』より(竜胆)

                  竜胆や風落ち来る空深し


秋の山に登山した時の句だろうか。
竜胆が青々と咲いている。
風が吹き空を見上げると、青々とした秋空がある。
竜胆と青空のコラボレーション。
  

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2021年07月05日

『芥川竜之介俳句』より(夏山)

                 夏山や幾重かさなる夕明り


暮れ行く光の中に、夏山が幾重にも重なっているのが見える。
ほんのわずかな時間だが、変えがたいものがある風景である。

拙句にも時間は違うが
                 春野行く幾重重なる山の形
  

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2021年07月04日

『芥川竜之介俳句』より(夜寒)

                 竹林や夜寒の路の右左


昼でも暗い竹林。
それも夜の竹林の路を歩いていく。
友を訪ねるのか、そうでないのか行方知らずである。
やはり心細い気分になってくる。
しかも肌寒い夜である。
  

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