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2012年08月03日

『激流に生きて』(柳沢本次著・あさを社)

 『激流に生きて』(柳沢本次著・あさを社)
政治家が出版した本は、我田引水の感があって面白みがないという印象があり、よほど興味がなければ読まないことにしている。福田赳夫の『回顧90年』(岩波書店)や中曽根康弘の『自省録』は、郷土の政治家で、共に高崎高校(両氏が在学中は中学)の大先輩ということもあり、同じ選挙区の有権者であることもあり、拝読させていただいてはいるが、取材記者の書いたもの方に軍配を上げたい気がする。政治家は、発言し行動し、政策を実現することを職務とし、その実績は、有権者が評価することになる。つまり、自伝などは書かず、他者から書いてもらった方が良いのである。聖書だってキリストが書いたわけではなく、孔子や釈迦もしかりである。後世に書き残す記者が必ずいるのである。偉人と言われる人は、本人が俺は偉いと言わなくても他人が認めてくれる。
群馬県の政界で長く活躍し、県会議員を引退後も現在も政治に関わり、影響力を持つ人物が、柳沢本次氏である。大正14年生まれで今年で87歳になる。『激流に生きて』という本を昨年出版した。群馬郡であった箕郷町出身の県議でもあり、社会福祉にも理解のある政治家で、仕事の上でもお世話になっている。人徳を感じさせる人柄で、言動が一致している。故人になった父からも学校(県立勢多農林)が同じで、学年は父の方が2つ上だが、よく聞かされた人物で親近感を持っている。
寝苦しい夏の夜、一昨日アマゾンで注文した本書を読みだしたら、朝方近くまで一気に読んでしまった。戦後の政治史が著者の目を通して描かれている。まるで政治記者の文章のようである。ご本人のことは、後回しになっているように書かれているが、渦中の人である。政治家でない新聞記者には書けない記述がある。
柳沢氏は、一貫して今現在も、自民党に政治的立場を置いているが、県政、国政に重要な働きをしてきたことがわかる。38歳の若さで、箕郷町の町長となり、昭和50年から平成15年まで県会議員を務め、県会議長にもなっている。実業家でもあり、ブロック生産では、日本有数の会社の会長でもある。実に、エネルギッシュに人生を生きてきた感がある。まさに、『激流に生きて』という著書のタイトルが、ふさわしい。「はるな郷」という社会福祉法人の理事長でもあり、障害者の雇用にも熱心であり、上州の政治家らしく人情に厚い政治家である。文章は沈着冷静な知的印象が強く、政治を研究している人にとっても好著だと思う。


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Posted by okina-ogi at 17:32│Comments(0)書評
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