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2012年09月18日

『哀調の旋律』―柳田國男の世界

哀調の旋律』―柳田國男の世界  
亀澤克憲 本田企画 定価2000円+税

亀澤克憲さんのことは、フェースブックを通じて知った。私の友人の友人ということで、この本の存在を知ったのである。面識もなく、大変失礼とは思ったが、亀澤さんに「本を読ませていただきたい」とお願いしたら、数日後、自宅に著書が届けられた。直筆で「謹呈」と名前入りの栞が入っていた。早速お礼の手紙を書き、最近書いた拙著紀行『白萩』・『侘助』(いずれも非売品)をお送りした。
連休16日、17日に読ませていただいた。柳田國男については、『遠野物語』の著者で民俗学者だという程の知識しかなかったので、実に新鮮な内容であった。亀澤さんは、若い時から民俗学をやられていたことも知ったが、詩集も出されている。詩人は、言葉を大切にするだけでなく、言霊に触れる感性を持っている。思索の内容が深く、私のような散文的な人間には、読み進むのに苦労がいる。新鮮な内容と言ったのは、柳田國男が紀行文を多く書いていた事実である。もう一つは、一高、東京帝大、農商務省、貴族議員書記官長というエリート官僚と進みながら、40代で官を辞し、民俗学研究に進み、その手段が取材旅行の形をとり、江戸時代に生きた菅江真澄を手本としたこと。官僚になる前に、文学、とりわけ新体詩の創作により、島崎藤村や、田山花袋との交流があったことである。読み進んでいくと、タイトルの「哀調の旋律」という表現の意味が分かってくる。柳田國男は、日本の民衆の生活の歴史の中に、日本人の素質を見ようとした。そのまなざしと態度が哀調の旋律と無関係ではない。彼の職歴とは、対象的に生き方は俗世的ではない。島崎藤村と絶縁したことの背景にもそのあたりの事情がある。この本は、亀澤克憲さんのライフワークと言っても良く、長年の柳田國男への想いと、研究の積み重ねによって生まれた。


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