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2015年11月17日

高浜虚子の散文 『十五代将軍』

高浜虚子と言えば俳句であるが、小説や随筆を書いた時期があった。大正元年、虚子38歳の頃の出来事を文章にしている。この頃、虚子は鎌倉に住んでいた。友人の紹介で、鎌倉の句会に参加している人たちの俳句を見てほしいという依頼があった。その中に、鳥取藩主の池田公爵がいた。虚子から見ても佳句を元殿様は作ったらしい。そのこともあって、東京にあった本邸に食事に招待された。そこに現われたのが、十五代将軍徳川慶喜だった。俳句の講義を御前(?)の前でしてから、会食になった。元将軍の俳句は、いわゆる虚子からすれば月並み俳句だったようであるが、俳句の鑑賞力は鋭いものがあったと書いている。
徳川慶喜は、2年後の大正2年に亡くなり、谷中の墓地に埋葬されたが、時代は変わっても元将軍様である。虚子の父親は松山藩の武士だったが、下級武士で直接お目通りなどはできない。その徳川慶喜にお酌してもらったとも書かれている。俳句が結んだ瞬間とも言え、驚きの体験である。
俳人は、意外と長寿の人が多い。水原秋桜子、富安風生、加藤楸邨等が思い浮かぶ。高浜虚子もそうだった。子規から写生という俳句論を継承したが、虚子なり作句態度があった。今日、俳句を大衆的な趣味として裾野を広げたのは虚子の功績である。蕪村寄りである子規よりは、芭蕉の香りがする句が虚子には多い。今後は、将軍様に講義した高浜虚子の句も鑑賞してみたい。長寿の秘訣を知ることになるかも知れない。


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