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2012年11月24日

若山牧水の歌

心に浮かぶ歌・句・そして詩57

若山牧水は、酒を愛し、旅を愛した大正の歌人である。
 
幾山河 こえさりゆかば寂しさの
        はてなむ国ぞけふも旅ゆく

正直に「淋しい」と言っている。また
 若山牧水の歌
白鳥はかなしからずや空の青
        海のあおにも染まずただよう
「淋しい」とは言っていないが、「かなしい」と言っている。気分はそれほど変わっていない。
大正時代は、第一次世界大戦もあったが、日本の国が大きな戦争の当事者になったり、その渦中に呑みこまれたわけではない。大正デモクラシーという言葉があるが、政党政治も機能し、言論の統制もきつかったわけでもない。日露戦争から、昭和の十五年戦争の間にあって、ちょうど冬の中の小春日のような時代であった。
しかし、人々の心は淋しかった。なぜか、ということだが、若山牧水の〝白鳥の〟短歌が象徴的であって、自他が対立している。それは、個人(白鳥)を強調するからである。我が、我がを前面に出せば、思い通りになっているときは良いが、いつかは淋しくなる。おおいなるもの(大我)に抱かれ個人(小我)を抑えるのが、本来の日本民族の心の伝統では、ないかと思う。


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Posted by okina-ogi at 08:14│Comments(0)日常・雑感
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