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2013年05月06日

原正男先生の近景16

振り子の生活
 結核療養時代から、原先生の生活習慣は、実に規則正しい。午後は、小一時間は必ず昼寝をする。就寝時間は、早い。朝早く起きて、食事の前に、自分でお茶を入れて飲む。亡くなられた日の朝もそうだった。
 上高地を旅した時も、同室の人の睡眠に配慮し、カメラをかかえ、散歩に出かけられた。そんなこととは知らず、眠りをむさぼっていた同室の若者が目を醒ますと「お茶が入っています」と先生が窓辺に坐っていたのには恐縮した。原先生のお茶の入れ方上手だと、茶道の師匠である野島秀子さんが言っていたとおり、その朝のお茶はおいしかった。
 原先生の寝相が良いのは有名であった。事務所の菅原優さんが追悼集に書いていたのは圧巻である。隣りで寝ている原先生があまりにも静かなので、気になって何度か目を醒ましたところ
 「僕は生きているから寝なさい」
と言われたというのである。
 午後になると昼寝をしたくてたまらない原先生にこんなことがあった。二十年も前のことである。
 県内に特別養護老人ホームが今ほど多くなかった時代、〝特養懇談会〟というのがあって、原先生は世話人をしていた。秘書官が二人いて、今榛名春光園の園長をしている宮原信義さんと交替で務めていた。
その日は、会場が桐生市にある菱風園であった。座長として進行してしばらくすると、原先生がコックリ、コックリ始めた。宮原さんも気づいていたらしいが、まだわかかったし、先生に声をかけるのに躊躇していた。出席者の話が終る頃、目を開いて、キチッと次ぎの進行に移っていたのにはビックリした。
要点は居眠りをしていても押さえていた。


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Posted by okina-ogi at 19:56│Comments(0)日常・雑感
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